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「コロナ太りの夫」に鶏ササミとブロッコリーばかり食べさせる妻…ダイエット強要はモラハラ?
鶏ササミとブロッコリーはダイエットメニューとして定番だ(弁護士ドットコム撮影)

「コロナ太りの夫」に鶏ササミとブロッコリーばかり食べさせる妻…ダイエット強要はモラハラ?

「コロナ太り」になってしまった都内に住む会社員の男性(30代)。長引く外出自粛と在宅ワークで、この間、体重が10kgも増えました。

そこで、妻が男性に対してダイエットをするよう迫り、毎晩のように鶏ササミとブロッコリーばかり食卓に並べるようになりました。男性が大好きな焼肉やコーラは禁止されています。牛乳も無脂肪乳しか買ってもらえません。

妻の言い分では、男性はもともと胃腸が弱く、コロナ太りになってからイビキも酷くなったそうです。「健康上の不安があるし、イビキで夜間に起こされることが多くなって仕事中も眠いです。ダイエットは絶対にしてほしい」と言います。

一方、男性は、「たった10kg太ったくらいでダイエットを強いられ、つらいです。好きなものを食べられないストレスで落ち込み、仕事にも支障が出そうです。これはモラルハラスメント(モラハラ)ではないでしょうか?」と反論します。

健康上の不安が理由であっても、配偶者にダイエットをさせることは、モラルハラスメント(モラハラ)にあたるのでしょうか。大和幸四郎弁護士に聞きました。

●「相手を異常に束縛する場合はモラハラの可能性」

「まず、モラハラとは、精神的な暴力や、心ない言動による嫌がらせのことをいいます。

たとえば、家庭でのモラハラには、『大声で怒鳴る』『生活費を渡さない』『外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせる』『無視をして口をきかない』『誰のおかげで生活できるんだなどと言う』などがあり、身体的な暴力は伴いませんが、強い口調で配偶者を責めたり、相手を束縛したりするといったことが特徴です。

なお、DV防止法1条でも、『配偶者からの暴力』を、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命または身体に危害を及ぼすもの)のみならず、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を含んでいます」

では、「健康上の不安がある」という理由から、夫が食べたいものを我慢させたり、食べたくないものを食べさせる行為は、妻によるモラハラにあたるのでしょうか?

「なかなか難しい問題ですが、これは相手方の要求などを一切認めなかったり、配偶者を異常に束縛する場合は、モラハラにあたると思います。ダイエットなら、ほかのダイエット食品で代替することや、ジムや歩くなど運動ダイエットなどの方法もあると思います」

●「イビキがひどい」という妻の訴えはモラハラ?

一方、妻は「夫のイビキがひどくなり、夜眠れなくなった」と訴えています。これは夫に対するモラハラにはあたらないのでしょうか?

「もしも、妻が大声で怒鳴ったり、命令するような口調で言った場合は、たしかにモラハラにあたる可能性があると思います。

しかし、実際、イビキは聞くほうとしてはつらいと思います。十分睡眠がとれないなど、弊害もあると思いますので、妻の言うことも一理あると考えます。よって、これはモラハラにはあたらないと思います。

現在は、いびき防止措置や、病院に通うなどの方法もありますので、夫も努力されたほうが良いと思います」

すれ違う夫婦。円満に解決のためのコツは?

「せっかく縁があって結婚していたのですから、ほかの代替方法など十分に話し合い、互いに尊重し、いつまでも仲良く暮らしてほしいと思います」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

大和 幸四郎
大和 幸四郎(やまと こうしろう)弁護士 武雄法律事務所
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。

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