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ドライバー仰天、ハンドル操作は「膝の上に乗った子ども」 これって良いの?
画像はイメージです(Halfpoint / PIXTA)

ドライバー仰天、ハンドル操作は「膝の上に乗った子ども」 これって良いの?

最近、久しぶりに田舎の祖父母宅を訪ねたトオルさん(仮名・30代)。家に向かう途中、幼い頃の懐かしい記憶が蘇ったといいます。

「子どもの頃は家族3人、よく車に乗って祖父母の家に行きました。住宅街の最後の曲がり角だけ、運転席の父の膝に乗っかって、ハンドルを握らせてもらっていました。それが本当に楽しみでしたね」

父親はハンドルに手を添えたままだったそうですから、力を加減して、子どもに運転しているように感じさせてくれていたのでしょう。

「30年前の田舎の話です。父なりに子どもを喜ばせようとしたんでしょうけど、今そんなことしたら、ネットで晒されて、捕まってしまうんじゃないですか」

●「子どもにハンドル」で無免許運転教唆の例も

2017年、父親の膝の上に乗った子どもがハンドルを操作し、街中をドライブする動画がネットで話題になりました。

その後、父親は逮捕され、道交法違反(無免許運転)教唆の罪で罰金30万円の略式命令を受けました。車は駅近くを走っており、男性はハンドルから手を離していました。

子どもを膝の上に乗せ、公道でハンドルを握らせる行為。もしも親がハンドルに手を添えていた場合はどうなんでしょうか。山田訓敬弁護士に聞きました。

●アクセル、ブレーキは親が踏んでいるのでは?

ーーアクセル、ブレーキは親が踏んでいると思いますが、子どものハンドル操作は法的にどう考えられますか?

「まず、『運転』とは、道路において、車両をその本来の用い方に従って用いることと定義されています(道交法第2条第1項第17号)。

『車両を本来の用い方に従って用いる』とは、運転者が乗車して各種装置を操作して発進し一定の方向へ、一定速度を維持し、変更し、停止する等走行について必要な措置をとることをいいます。

走行中の自動車のハンドル操作をすることは『走行について必要な措置』ですから、『運転』といえます。

よって、運転免許を取得していない子どもに走行中の自動車のハンドル操作をさせた者は、速度を問わず、道路交通法違反(無免許運転)の共犯の責任などを問われる可能性があります」

●親もハンドルを握っている場合は?

ーー親もハンドルを握り、子どもの操作をコントロールしている場合はどうでしょうか?

「子どもにハンドルを握らせているが、事実上は免許保有者が運転している場合であっても、そもそも膝の上に子どもを乗せていること自体、安全運転義務違反の責任(道路交通法第70条、同法第119条第1項第9号)に問われる可能性があります。

このほか、自動車の運転者は、6歳未満の幼児を乗車させる場合は『幼児用補助装置』(いわゆるチャイルドシート)の使用を義務付けられている(道交法第71条の3第3項)ので、これにも反することになります。

いずれにせよ、子どもにハンドルを握らせるのは危険な行為なので、絶対にやめましょう」

プロフィール

山田 訓敬
山田 訓敬(やまだ くにたか)弁護士 弁護士法人山田総合法律事務所
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、交通事故や遺産相続・離婚等の個人トラブルの分野にも力をいれている。特に、個人の分野では、相談者の「悩みを思い出に!」をモットーに、相談者の悩みを親身になって聞いてもらえると好評である。また、コロナ禍になってからはオンラインでの相談にも注力しており、全国から問い合わせがあっている。

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