今日の悩みが、いつか笑って話せる思い出になるように~依頼者に寄り添い、ともに事件を乗り越える
ロックバンドに情熱を注いだ学生時代
ーー弁護士を目指した経緯を教えてください。
高校時代は軽音楽部でバンド活動をしていました。プロのミュージシャンになりたくて、大学進学を口実に親を説得し、生まれ育った福岡から上京しました。一応法学部でしたが、当時は弁護士になりたいとは露ほども考えていませんでした。音楽で身を立てたい、その一心です。
でも東京に出てみたら、私の技術を遥かに上回るアマチュアのミュージシャンたちが山ほどいることに気づきました。実力差に打ちのめされ、この猛者たちを凌いでプロになるのは無理だという現実をようやく受け入れた時、私はすでに大学4年生になっていました。
学年的には就職を考える時期ですが、自分が一般企業で働くイメージがまったく湧きませんでした。音楽を諦めたむなしさも相まって途方に暮れ、友人に相談したところ、「なにか資格を取ってみてはどうか」とアドバイスをもらったのです。その友人は司法書士試験の勉強をしていました。彼の影響を受けて、じゃあ自分も法律系の資格にしよう、せっかくだから最難関の司法試験に挑戦しよう、と決めました。
バンド活動に明け暮れる日々を送ってきたため、法律の勉強はほとんどしてこなかったのですが、いざ始めてみたらこれがおもしろくて。さまざまな判例に触れ、そこに登場する人間関係に思いを馳せているうちに、法律をつかって人助けをする弁護士に深く憧れるようになりました。5年間勉強してなんとか合格し、福岡に戻って弁護士業をスタートさせました。
ーープロのミュージシャン志望から弁護士志望へ。思いがけない方向転換ですね。
そうですね。でも振り返ってみれば、子どもの頃から積極的に人助けをする性格ではありました。たとえば目の不自由な方の道案内をしたり、いじめられている友人を守ったり…。誰かを支えて感謝されることが誇らしかった。弁護士としてのやりがいに通じる、いわば原体験のようなものはあったと思います。
相続人同士の関係を大切に、関係者全員が納得する着地点を探る
ーー現在もっとも注力している分野について教えてください。
相続事件です。相続には繊細な処理能力が求められます。被相続人(亡くなった方)の財産を、法律にのっとって相続人(亡くなった方の財産を引き継ぐ方)同士で分けて終わり、というシンプルなケースばかりではないからです。
被相続人の生前の言動や、相続人たちの微妙な力関係、それに対する不満や納得のいかなさなどを巡ってさまざまな思いが交錯することもあります。時には激しい恨みや憎しみまで生じるのです。
血縁関係のない他人同士が争う一般民事とは、雰囲気が少し異なります。親族同士だからこそ付き合いが長く、ひいては思い入れが強くなるのかもしれません。
ーー相続事件ならではの込み入った対立関係を整理し、解決までもっていくのは、なかなか困難なことではないでしょうか。心掛けていることはありますか。
たしかに簡単ではありません。でも、その難しさに取り組むことこそがやりがいでもあります。
心掛けているのは依頼者の話をよく聞くこと、そして相手方の話にもしっかり耳を傾けることです。それぞれの主張のバランスを取り、「この案なら受け入れてもよい」と関係者全員が思える落としどころを探れば、相続人同士で恨んだり憎んだりしたことも乗りこえられると信じています。
なにより避けたいのは、ネガティブな感情を募らせたまま相続人同士の縁が切れてしまう事態です。縁をゆるやかに繋ぎ直して双方が満足する、Win-Winの解決を常に意識しています。
ーーこれまで扱ってきた相続事件のなかで、特に印象的だった事件を教えてください。
離婚歴が3回ある男性が亡くなりました。相続人は、彼が最後に結婚していた女性と、3回の結婚のあいだに生まれた総勢10人の子どもたち。人数が多い上、関係も複雑です。揉めて長引くかもしれないぞと気を引き締めて受任したのですが、意外にも円満かつスピーディーに解決できました。
なぜかというと、生前の被相続人は子どもたちと心をこめた交流をしていて、それが非常に良い影響を残していたからです。彼は10人の子どもたち全員とこまめに会い、学費と生活費を渡し、愛情をしっかり伝えていました。
子どもたちは被相続人に対して全く不満を持っておらず、財産を巡ってきょうだい同士で争おうとする気持ちが皆無だったのです。家庭裁判所に集まった時も和やかでしたよ。初めて会ったきょうだい同士が、「そういえば、顔が似ているね」なんて明るく言い合ったりしていました。
被相続人の人柄が偲ばれるようでした。忘れがたい事件ですね。
悩みを共に乗りこえるパートナーとして
ーー山田先生の事件解決におけるモットーは、「あなたの悩みを思い出に」だそうですね。
はい。実はこのモットーは、依頼者からもらった言葉がヒントになっています。ある事件が終了して半年ほど経った頃、当時の依頼者が私の事務所を訪れて、「あんなに悩んでいたけれど、今では良い思い出になった」と言ってくれたのです。
その言葉を聞いて「あっ、これだ」と思いました。自分が目指す真の解決はこれだ、と。悩みがもっとも深く苦しい時期にある依頼者の伴走をして、解決から年月が過ぎた時に「良い思い出になった」と笑って話せるようなサポートをしたい。注力している相続事件に限らず、すべての分野の事件に対してそう思っています。
ーー今後の展望を教えてください。
現在は弁護士4人体制で事務所を運営していますが、いずれは8人以上は増やしたいと考えています。守備範囲をまんべんなく広げたいですね。この法律事務所に相談すれば問題がすべて解決する、と思ってもらえる、いわば総合病院のような場所になることが理想です。
何人体制になっても、依頼者ひとりひとりに寄り添う基本姿勢は徹底して貫いていきます。
ーー最後に、弁護士への依頼を検討している方へ向けてメッセージをお願いします。
一人きりで悩んでいると気持ちが混乱し、なにに困っているのか、なにを解決したいのかがよくわからなくなってしまうと思います。
悩みが整理できないときこそ、気軽に弁護士を頼ってください。あなたの悩みを丁寧に解きほぐし、解決までの道筋を提案します。「悩みを思い出に」を一緒に実現させましょう。