群馬県桐生市で生活保護費の不適切な運用がされていた問題で、貧困問題に取り組む専門家らでつくる「全国調査団」は9月25日、さらなる調査を求める要望書を桐生市長などに提出したことを明らかにした。
桐生市ではこれまでに、生活保護費を受給者に全額支給しなかったり、市の職員が受給者の印鑑を預かって生活保護の関係書類に無断で押していたりするなどの問題が発覚していた。
群馬県が特別監査を実施し、桐生市も第三者委員会を設置して問題の検証を続けている。
●「他の自治体の職員の信頼すら失墜させる」
この日、調査団のメンバーが厚生労働省で会見を開いた。
桐生市福祉課に約2000本の印鑑が保管されていたことに関して、市では生活保護申請の取り下げ数などが近隣の自治体に比べて多いことから、保管された印鑑がこうした取り下げなどに使用された疑いがあると指摘。
また、桐生市では2011年をピークに生活保護の受給者が減少し、2022年度には半減している点を挙げ、要望書で「数多くの申請権の侵害や不適切事案に対して、それが違法・不適切であるという意識がなぜなかったのか、組織体制や業務への取り組み姿勢なども含めた総合的な検証と自省が求められる」とした。
メンバーの1人で、一般社団法人「つくろい東京ファンド」スタッフの小林美穂子さんは会見で「桐生市の不誠実な態度は、全国で日々葛藤しながら職務に当たっている他の自治体の職員の信頼すら失墜させる非常に責任が重いこと。今後、本気でうみを出して生まれ変わるチャンスに変えていただきたい」と話した。