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ジャニーズ会見欠席のジュリー氏がつづった手紙「逃げたと言われることは重々承知」「被害者のケアしていきたい」
藤島ジュリー景子氏(2023年9月7日/弁護士ドットコム撮影)

ジャニーズ会見欠席のジュリー氏がつづった手紙「逃げたと言われることは重々承知」「被害者のケアしていきたい」

ジャニーズ事務所が10月2日、都内で開いた記者会見には、前社長の藤島ジュリー景子氏の姿はなかった。代わりに、ジュリー氏が寄せた手紙を井ノ原快彦氏が会見で代読した。以下、全文のかたちで紹介する。

●「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」

この度、叔父ジャニー喜多川により性被害に遭われた方々に、あらためて心からお詫び申し上げます。

5月2日に被害にあわれた方とはじめてお会いしました。その後も色々と実際にお話を伺う中で、この方々にどのように補償をしていくのが良いのか、加害者の親族としてやれることは何なのか考え続けております。

そしてジャニーズ事務所は、名称を変えるだけではなく、廃業をする方針を決めました。

これから、私は、被害にあわれた方々への補償や心のケアに引き続きしっかり対応させて頂きます。

叔父ジャニー、母メリーが作ったものを閉じていくことが、加害者の親族として私ができる償いなのだと思っております。

私は4年前に母親であるメリーからジャニーズ事務所を相続いたしました。

ジャニーズ事務所は、ジャニーだけではなく、私の母であるメリーも権力を握っていたと思います。ジャニーはメリーからお小遣いをもらうという形でしたので、経営的なことは全てメリーが決めていたと思います。

ジャニーと私は生まれてから一度も二人だけで食事をしたことがありません。会えば、普通に話をしていましたが、深い話をする関係ではありませんでした。

ジャニーが裁判で負けた時も、メリーから「ジャニーは無実だからこちらから裁判を起こした。もしも有罪なら私たちから騒ぎ立てるはずがない。本人も最後まで無実だと言い切っている。負けてしまったのは、弁護士のせい」と聞かされておりました。当時メリーの下で働いていた人達も同じような内容を聞かされてそれを信じていたと思います。

そんなはずはないだろうと思われるかもしれませんが、ジャニーはある種、天才的に魅力的であり皆が洗脳されていたのかもしれません。私も含め良い面を信じたかったのだと思います。

そして母メリーは、私が従順な時はとても優しいのですが、私が少しでも彼女と違う意見を言うと気が狂ったように怒り、叩き潰すようなことを平気でする人でした。

20代の時から、私は時々過呼吸になり倒れてしまうようになりました。当時病名はなかったのですが、今ではパニック障害と診断されております。

私は、そんなメリーからの命令でジャニーズ事務所の取締役にされておりましたが、事実上、私には、経営に関する権限はありませんでした。そして、2008年春から新社屋が完成した2018年まで、一度もジャニーズ事務所のオフィスには足を踏み入れておりません。

これは性加害とは全く違う話で、私が事務所の改革をしようとしたり、タレントや社員の環境を整えようとしたこと等で、二人を怒らせてしまったことが発端です。

ジャニーとも、2008年頃から2016年頃までライブ会場ですれ違うことはあっても会話はしておりませんでした。その後、ジャニーの稽古場に呼び出されて久しぶりに話しましたが、それ以降もジャニー本人に会ったのは数回です。その期間のJr.からのデビューや管轄外のグループの解散のプロセスにも関わっておりません。

井ノ原快彦氏 井ノ原快彦氏(2023年10月2日/弁護士ドットコム撮影)

メリーからは私の娘である孫に会いたいと切望され、1年に数回、一緒に食事をすることや、お正月には孫と旅行をすることも決められておりましたが、私自身はメリーと話をすることを極力避けて生きてきた人生でした。

このような説明をすると、嘘だとか、親子で仲が良かったのを見たことがある等、またバッシングされる記事が大量に流れるのだと思いますが、近い関係者の皆様、タレントの方々、社員等であれば、こうした事情を知っていると思います。

心療内科の先生に「メリーさんはライオンであなたは縞馬だから、パニック障害を起こさないようにするには、この状態から、逃げるしかない」と言われ、自分で小さな会社を立ち上げ、そこに慕ってくれるグループが何組か集まり、メリー、ジャニーとは全く関わることなく、長年仕事をしておりました。

このような理由で、ジャニーがいる稽古場とは全く違う場所で働いており、Jr.の皆さんとの接点もなかったので、今回申し出てくださった中で、私がお会いしたことがあるのは9人です。それ以外の多くの方々とはお会いしたことがないのです。

今から思えば、ジャニーの親族であり、女性である私に、Jr.の皆さんはもちろんのこと、タレントの皆さんも噂話をすることや相談もしにくかったのではないかと思います。

今被害を申告されている方々の中で、私を含めて現在の役員が被害者の方々について直接知る情報は、在籍していたかどうか以外にほぼございません。

そこで、ジャニーやJr.と私以上に近い距離で接していらした元役員、元社員そして外部スタッフの皆さまには被害者救済のご協力をぜひお願いできたらと思っております。

ジャニーズ事務所は廃業に向かっておりますが、一人たりとも被害者を漏らすことなく、ケアしていきたいと思っております。

知らなかったと言うことを言い訳にするつもりは全くありません。メリーが言うことを信じてしまっていたこと、そしてそれを放置してきた自分の鈍感さ、全て、私の責任です。

また、今回、なぜ私が100%の株主で残るのかと多くの方々から批判されました。

実は多くのファンドの方々や企業の方々から私個人に有利な条件で買収のお話も沢山頂いております。そのお金で相続税をお支払いし、株主としていなくなるのが、補償責任もなくなり一番楽な道だと何度も何度も多くの専門家の方々からアドバイスをされました。

しかし、100%株主として残る決心をしたのは、他の方々が株主として入られた場合、被害者の方々に法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした。

そういう理由で、現在の会社には、株主100%として残りますが、チーフコンプライアンスオフィサーを外部から招聘し、今後私は補償とタレントの心のケアに専念しそれ以外の業務には一切当たりません。

また、今後私は全ての関係会社からも、代表取締役を降ります。またジャニーとメリーから相続をした時、ジャニーズ事務所を維持するために事業承継税制を活用しましたが、私は代表権を返上することでこれをやめて、速やかに納めるべき税金を全てお支払いし、会社を終わらせます。

ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族として、やり切らねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切、無くしたいと思います。

最後に、ジャニーズ事務所に所属するタレントを、これまで応援してくださった世界中のファンの方々のお気持ちを考えると、本当に本当に申し訳なく、言葉にもなりません。

また、関係各所の皆様、ご迷惑ご心配をおかけして大変申し訳ございません。

今日、記者会見に出席せず、このようなお手紙を出すことで逃げた、卑怯だと言われることは重々承知です。

今回初めて公にお話ししたメリーは、本当に酷い面も多くあったのですが、優しい時もあり、自分の母でもあり、皆様の前でお話ししたいことを過呼吸にならずにお伝えできる自信がなく、このようなお手紙にさせて頂きました。誠に申し訳ございません。

改めて、被害者の皆様、ジャニーのしたことを私も許すことができません。 心から申し訳ないと思っております。

またタレント、社員の皆さんが、これから新しい道に思いっきり羽ばたき、皆が幸せになれるよう、私はそれを後押しできるような形になるよう、精一杯頑張っていきたいと思っております。

どうか引き続きご指導ご鞭撻いただきますようどうぞよろしくお願い致します。

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