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カオスラ名誉毀損訴訟でセクハラを認定、パワハラ認めず noteで告発の女性に賠償命令…東京地裁
東京地裁(2022年7月、弁護士ドットコムニュース撮影)

カオスラ名誉毀損訴訟でセクハラを認定、パワハラ認めず noteで告発の女性に賠償命令…東京地裁

現代アート集団「カオス*ラウンジ」を運営する合同会社カオスラに勤務していた女性が、元代表社員の黒瀬陽平氏や関係者らから、セクハラやパワハラを受けたとネット上で告発したことをめぐり、カオスラ側が名誉を傷つけられたなどとして、告発の全文削除と損害賠償約500万円を求めた訴訟の判決が今年2月、東京地裁であった。

東京地裁の桃崎剛裁判長は、カオスラ側によるパワハラがあったと記述した11カ所の文言の削除と、女性に対しては55万円の賠償命令を言い渡した。双方ともに、この判決を不服として控訴している。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●裁判所の判断は?

この裁判で、カオスラ側から訴えられていたのは、元社員の安西彩乃氏と、彼女の告発文を掲載しているサイトを運営する「note株式会社」。

判決では、告発文が摘示した黒瀬氏による性的な関係の強要があったか、また同じく安西氏に対してカオスラ側が自主退職を追い込んだかなどについて、判断があった。

判決は、安西氏には、勤務先の代表者であり、10歳以上年上で既婚者でもある黒瀬氏との間に「性交渉を受け入れるような関係性にあったとは認められない」と指摘。

黒瀬氏が安西氏に対して、「その立場を利用して、意に反する性的関係の要求というセクハラを継続的におこなっていたと認められる」などとして、告発文で「セクハラ」をうったえた箇所は真実であるとした。

一方、カオスラ側が安西氏を威迫し、一方的に退職させたり、退職の際に組織的なパワハラがあったことは認めなかった。パワハラを主張した箇所が、カオスラの社会的評価を低下させて違法であると判断。該当部分の11カ所の削除と賠償を命じた。

なお、安西氏はこの裁判とは別に、カオスラ側の退職強要があったとして東京地裁に提訴したが、判決(2022年11月)では安西氏の請求は棄却されており、現在、控訴審で争われている。

●安西氏「セクハラの事実が認定され、嬉しく思う」

安西氏は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、次のようにコメントしている。

「判決において、セクシャルハラスメントの事実が認定されました。部分的ではあるものの、判例の積み重ねの中の、希望的な一つとなれたことを嬉しく思います。

退職勧奨部分については、労働訴訟の判決が引き継がれた不服なものであるため控訴しています。 私の支援団体であるBe with Ayano Anzaiでは、双方の訴訟書面、尋問調書、尋問レポートを公開してきました。

被害告発や最終的な判決などの断片的な情報ばかりではなく、判決が出るまでの過程を理解し、各々が判断基準を持ちながら問題について思考することが重要だと考えています」

弁護士ドットコムニュースは、カオスラ側にも取材を申し込んだが「辞退する」とした。

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