東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で、1カ月間に10回もの自殺未遂を繰り返したトルコ国籍のクルド人男性、デニズさんが3月26日、東京・永田町の参議院議員会館で記者会見を開いた。
●約1カ月で10回の自殺未遂
デニズさん(難民申請中)は2007年に来日して、2011年に日本人女性と結婚したが、在留資格はみとめられず、2016年から東日本入国管理センターに収容されている。
この間、長期収容によって、精神的に疲弊して、不眠となり、大量の睡眠導入剤を投与されているという。今年2月下旬から3月中旬にかけては、自分で首を絞めるなど、10回も自殺を図った。
会見2日前の3月24日、1カ月の「仮放免」(一時的に収容が解かれる)となって、収容施設から出ることができた。この日の会見で、デニズさんは「わたしの一番いい薬は奥さん(といること)です」と涙ながらに話した。
●デニズさんは国家賠償訴訟を起こしている
デニズさんは昨年8月、東日本入国管理センターの職員から暴行を受けるなど不当な扱いを受けたとして、国家賠償訴訟を起こしている。
この裁判で、国側は、複数の職員が、デニズさんを取り押さえる様子を録画した映像を証拠として提出している。デニズさんの腕が捻り上げられるところも映っている。
代理人の大橋毅弁護士は会見で、入管の長期収容について「(イラク戦争の際、捕虜の虐待で問題となった)アブグレイブ刑務所のように、『人間の尊厳』を奪っている」と批判した。
デニズさんは「暴力だけでなく、精神的暴力もひどい。わたしだけじゃなくて、入管に収容されている人たちの問題です。どうか、わたしたちを助けてください」と訴えていた。