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2020年09月01日 09時49分

口座を間違えて150万円振り込んだ人が号泣「戻ってこないって本当?」

口座を間違えて150万円振り込んだ人が号泣「戻ってこないって本当?」
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

振込先を間違えて、150万円の大金を振り込んでしまったーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられている。

振込先を間違えて振り込んでしまった場合、銀行で「組戻し」(振込手続きを終えた後に、客側の都合で振込を取り消し、振り込まれた資金を返してもらう手続きのこと)をおこなうことになる。ただし、銀行から受取人口座の金融機関を介して受取人の意思確認や返金手続をおこなうため、返金までに時間や手数料がかかってしまうのが一般的だ。

相談者も銀行に連絡し、組戻しの手続きをおこなった。しかし、誤って振り込んだ先の口座名義人(受取人)に連絡がつかない状態だという。

●口座名義人と連絡がつかない場合は諦めるしかない?

組戻しの手続きをおこなえば、かならずしも返金されるというわけではない。誤って振り込んだ資金を返金するためには、振込先口座の名義人の許可が必要だ。そのため、連絡が取れなかったり、出金許可が得られなかったりした場合、資金の返金はできないことになる。

相談者は不安を抱えているが、このような場合は諦めるしかないのだろうか。あるいは、なんらかの法的手段をとることはできるのだろうか。

池田誠弁護士は、次のように説明する。

「誤って振込をしてしまったとしても、振込先口座の名義人が振り込まれた資金を自分のものとして利用する法律上の原因(契約など)はありません。そのため、振込者から振込先口座の名義人に対して不当利得返還請求権が発生します。

振込者が口座名義人について最低限の情報(住所・氏名(または法人名。以下同じ)等)を把握している場合、把握している口座名義人の住所・氏名に対し、内容証明郵便等で不当利得返還請求権を行使する旨を通知し、万が一任意の返還が受けられなかった場合には訴訟を提起して返還を求めることになります」

●口座名義人の氏名と住所が分からない場合は?

もし完全な誤振込で、口座名義人のカタカナの氏名と支店・口座番号以外の情報(住所や漢字の氏名等)を把握していない場合はどうすればよいのだろうか。住所や氏名等が分からなければ、内容証明郵便を出したり、訴訟を提起したりすることは困難だ。

池田弁護士は「このような場合、振込め詐害被害者が振込先口座名義人から被害回復をおこなう手法が参考になります」とアドバイスする。

「振込め詐欺においても、被害者は口座名義人のカタカナの氏名、支店および口座番号程度の情報しか持っていないのが通常です。銀行は、仮に被害者から照会を受けても、任意に当該口座名義人に関する情報を開示しないのが一般的です。

そこで、まずはカタカナの氏名、銀行、支店および口座番号のみを被告欄に記載し、氏名・住所不詳者として訴訟提起します。

その上で、訴状と合わせて裁判所に提出した銀行への照会申出書を通じ、裁判上の手続で銀行から口座名義人の情報開示を得て、不当利得返還請求権を行使する方法が考えられています。振込の理由は異なるものの、誤振込の例でも同様の手法が利用できると考えられます」

●誤振込したお金を口座名義人が勝手に使ってしまったら?

しかし、不当利得返還請求権を行使したとしても、口座名義人がすでに振り込まれたお金を使ってしまったという可能性もありうる。そのような場合、全額を取り戻すことは不可能なのだろうか。池田弁護士は、次のように指摘する。

「口座名義人が振り込まれた資金を使ってしまった場合、不当利得返還請求権は『その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う』とされています。

そのため、民事上請求できる返還請求権としては、口座名義人の口座に残っている金額に限定されるおそれがあります」

口座を間違って振り込んでしまった側としては、到底納得できないだろう。このようなことは法的に許されるのだろうか。

池田弁護士によると、誤振込されたお金を勝手に使う行為は、銀行に対する詐欺罪または窃盗罪が成立する可能性があるという。

「実際に、誤振込があることを知りながら、受取人がそのことを銀行に隠してお金を引き出す行為は、銀行に対する詐欺罪ないしは窃盗罪を構成すると示した裁判例があります(最高裁第二小法廷平成15年3月12日決定、東京高等裁判所平成25年9月4日判決など)。

誤振込があることを知っているためには、必ずしも銀行からの通知等が到達してこれを確知している必要はありません。

誤振込の結果、口座名義人の本来の預金残高に比べて過大な残高になっており、当然誤振込であることが知れていたはずである場合も含むとされています(たとえば、前記平成15年の最高裁判例において、約75万円の誤振込によって約92万円の預金残高となった口座から88万円の払戻しを受けた行為について、銀行に対する詐欺罪を認めています)。

このように、誤振込によって生じた預金残高を口座名義人が費消してしまった場合には、詐欺罪ないし窃盗罪にあたるとして刑事告発することが考えられ、示談を通じて被害回復が得られる余地もあります」

取材協力弁護士

池田 誠弁護士
証券会社、商品先物業者、銀行などが扱う先進的な投資商品による被害救済を含む消費者被害救済や企業や個人間の債権回収分野に注力している下町の弁護士です。債権回収特設ページURL(https://nippori-law-saikenkanri.com/)

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