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高市首相「0〜3時間睡眠」が波紋、「5時間睡眠」でも健康リスク 過労死に詳しい弁護士が警鐘
2026年6月22日、中傷動画問題について深夜も対応していると答弁する高市首相(衆議院TVインターネット審議中継より)

高市首相「0〜3時間睡眠」が波紋、「5時間睡眠」でも健康リスク 過労死に詳しい弁護士が警鐘

「総理就任以来、0時間〜3時間睡眠が常態化している」 「平日は深夜まで公務、自宅では風呂掃除や洗い物、洗濯をしている」

高市早苗首相が7月20日、自身のXで、連日の長時間勤務や睡眠不足、休日の家事について詳細をつづり、波紋を広げている。

投稿では、政策資料や国会答弁資料を早朝から深夜まで読み込み、休日も予算編成や成長戦略の検討や、メール対応に追われる日々を説明。一方、海の日には「5時間も眠れた」としたうえで、たまっていたアイロンがけや裁縫を済ませたことも報告した。

SNSでは「働きすぎを美談にすべきではない」「地獄のミサワ化している」「なぜ首相が主婦業までやる必要があるのか」「総理の働き方として持続可能なのか」と揶揄する声も相次いだ。

高市首相は昨年10月、自民党総裁選出後、党の国会議員を前に「もう全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて参ります」と発言。

これに対し、過労死弁護団全国連絡会議が、「公務員など働く人々に過重労働・長時間労働を強要することにつながり、政府が推し進めてきた健康的な職場づくりを否定し、古くからの精神主義を復活させるもの」として、発言の撤回を求める声明を公表した。

首相には労働基準法は適用されない。しかし、国のトップがこうした働き方を自ら発信することには、どのような影響があるのだろか。過労死問題にくわしい波多野進弁護士に聞いた。

●トップの長時間労働は「無言の圧力」に

──高市首相のような働き方や発信をどう見ますか。

政治家と労働者は立場が異なりますが、高市首相のように「公務や家事で睡眠時間が3時間程度しか取れないほど仕事に邁進している」と発信することを、民間企業の社長や多くの部下を抱える部長に置き換えて考えてみます。

発言者にその意図がなかったとしても、「トップが睡眠時間を削ってまで働いているのだから、部下も同じように仕事に注力すべきだ」というメッセージ、あるいは無言の圧力になりかねないでしょう。

現場の長時間労働を防ぐには、まず上司自身の長時間労働をなくすことが重要です。実際、このような発言をする上司は、自らも遅くまで残業していることが多いでしょう。そのような状況では、部下は上司より先に仕事を切り上げて帰りづらくなります。

むしろ、トップや管理職こそ、部下より早く仕事を終え、部下が安心して退勤できる職場環境をつくることが重要です。

●「5時間睡眠」でも重大な健康リスク

──健康への影響については、どう考えますか。

高市首相のように、「よく休めた」とされる5時間程度の睡眠を一定期間続けることは、重大な健康被害を生じる危険があることは明らかです。

厚生労働省が定める脳・心臓疾患の労災認定基準では、発症前1カ月間に週40時間を超える時間外労働がおおむね100時間を超えた場合、業務との関連性が強いとされています。

また、この認定基準の根拠となった専門検討報告書では、「1日5時間程度の睡眠しか確保できない状態は、1日8時間の所定労働に加え、約5時間の時間外労働を行った場合に相当し、それが1カ月続けば、おおむね100時間を超える時間外労働が想定される」と指摘されています。

このように、高市首相が「よく眠れた」とする5時間程度の睡眠であっても、生命や健康に重大な危険が及ぶおそれがあります。まして、「0〜3時間睡眠」が常態化しているのであれば、そのリスクはさらに高いと考えられます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

波多野 進
波多野 進(はたの すすむ)弁護士 同心法律事務所
弁護士登録以来、20年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。

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