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「支払えないなら、来月出て行って」病気療養中で家賃延滞… 退去しなくてはダメ?
画像はイメージです(jessie / PIXTA)

「支払えないなら、来月出て行って」病気療養中で家賃延滞… 退去しなくてはダメ?

「病気のせいで家賃が払えないのに、『今月中に払わないと強制的に出ていってもらいます』と言われてしまいました」という相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の男性は最近、病気が発覚し、月末に手術を控えています。管理会社には「今月の家賃を払うことができないため、家賃の支払いを待ってほしい」と願い出たところ、逆に「今月中に家賃を支払えないなら、来月出て行ってもらう」と言われてしまったといいます。

急病で家賃を支払えない場合は、家を追い出されてしまうのでしょうか。追い出されないように何らかの手を打つことはできるのでしょうか。後藤貞和弁護士に聞きました。

●「信頼関係破壊の法理」とは

ーーやむを得ない事情で支払いができない場合、すぐに退去しなくてはいけないのでしょうか

賃料の支払は賃借人の主要な義務のひとつです。支払が滞った場合、賃貸人は債務不履行により当該賃貸借契約を解除し、賃借人に退去を求められると考えられそうです。

しかし一度でも、一日でも支払に遅れがあれば契約を解除できるとすると、賃借人は生活基盤を奪われることになり、賃借人の不利益があまりにも大きいともいえます。

そこで、従来より、賃借人の債務不履行により契約解除できる場合が一定程度制限される、「信頼関係破壊の法理」と呼ばれる理論が判例上認められ、実務でも定着しています。

同法理は、信頼関係を裏切って賃貸借契約の継続を困難とするような著しい背信的行為があった場合には契約を解除できる、かみ砕いていうと、軽微な義務違反では解除は認められない、というものです。

今回の相談事例では、賃貸人が相談者を退去させたいと考え、相談者がこれに応じない場合、賃貸人は訴訟を起こして契約の解除及び相談者の退去を求めることになります。

しかし、上記のとおり信頼関係破壊の法理により、相談者のケースでは基本的に解除及び退去を認める判決は出ないでしょう。もちろん、賃料未払い以外の債務不履行(第三者への無断転貸や契約の目的以外の使用等。)があれば、滞納の事情とそれらがあいまり契約解除が認められることはありえます。

もし、手術や入院が長引く、今後も滞納になる可能性が高いといった場合、いずれ退去せざるをえなくなりますし、遅延損害金もあわせた損害賠償請求もありますので、状況によっては退去を検討せざるをえないケースもあるでしょう。

プロフィール

後藤 貞和
後藤 貞和(ごとう さだかず)弁護士 弁護士法人後藤東京多摩法律事務所
2014年弁護士登録、仙台弁護士会所属。当事者の納得いく解決を目指した親切・丁寧な対応をモットーとしています。Chatwork等のビジネスチャット、ビデオ通話による相談にも対応しています。お気軽にご相談ください。

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