「無期懲役」判決を受けた受刑者の仮釈放について、法務省は1月23日、最新の運用状況をまとめた資料をホームページで公表した。2024年に仮釈放されたのはわずか1人だった一方、32人が獄死していたことが分かった。
無期懲役刑をめぐっては、安倍晋三元首相への銃撃事件で山上徹也氏に言い渡されたことで関心を集めているが、生きて塀の外に出ることができない「終身刑」化しつつあるのが実情だ。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●仮釈放はわずか1人、過去10年で最少
新たに公表されたのは2024年分のデータ。法務省によると、2024年末時点で全国の刑事施設に収容されている無期懲役の受刑者は1650人で、前年の1669人から19人減少。11人が新たに収容された。
注目なのは、2024年の1年間に新たに仮釈放された無期懲役囚がわずか「1人」だったことだ。
この点については、弁護士ドットコムニュースが2025年11月17日に配信した記事でも紹介したが、NPO「CrimeInfo(クライムインフォ)」に掲載されている資料によると、記録が残る1966年以降で、仮釈放された無期受刑者が「0〜1人」という年は確認できない。
一方で、服役中に死亡した無期懲役囚は32人に上った。法務省の資料に記載されている過去10年間だけでみても、仮釈放数(計96人)に対して死亡者数(計285人)は約3倍に達しており、塀の外に「出る数」より塀の中で「死ぬ数」の方が圧倒的に多い状況が続いている。
なお、唯一仮釈放された無期受刑者の在所期間は、38年1月だった。
無期懲役受刑者について、仮釈放された数と死亡した数の推移。2024年の死亡者32人はまだ反映されていない(クライムインフォのサイトより出力)
●仮釈放が許可されたのは2人のみ
無期懲役の受刑者でも、刑の執行開始から10年を経過し、本人に罪を悔い改める「改悛の状」があれば、仮に釈放することができると刑法に定められている。ただ、仮釈放されても、特別なことがない限りは生涯にわたって国の指導下に置かれる。
とはいえ、仮釈放の審査の状況を見ると、そのハードルが極めて高いことが伺える。
法務省の公表資料によると、2024年に仮釈放に向けた審理が行われたのは52件で、そのうち許可(仮釈放の決定)が出たのは以下の2人だけだった。
<2024年に仮釈放の許可が出た2人の概要> (年齢)80代、60代 (在所期間)37年4月、37年9月 (主な罪名)強盗致死傷・その他、強盗致死傷 (被害者の数・うち死亡者数)5人以上・1人、1人・1人
逆に、許可されなかった50件の平均在所期間は37.7年となっており、有期刑の上限である30年を超えて服役してもなお、仮釈放が認められないケースが大半を占めている。
法務省が公表した無期懲役受刑者の仮釈放に関する最新のまとめ(法務省が12月16日にHPで公表した資料より)
●50年以上が12人、数年前には64年ぶりの出所も
無期懲役囚全体の在所期間をみると、2024年末時点で、「10年未満」は180人、「10〜20年」614人、「20〜30年」535人、「30〜40年」224人、「40〜50年」85人となっており、50年以上の人も12人存在するという。
年齢別に見ると、70代が379人(23%)、80代以上が152人(9.2%)で、70歳以上が無期囚全体の約3割を占めている。
無期受刑者を取材している記者のもとには「死刑よりきつい」といった声も届いているが、約64年間も服役して2022年に仮釈放された稲村季夫さんのような極めて珍しいケースもある。