「町医者のように頼れる存在になりたい」一人ひとりに寄り添い、トラブル解決の道を一緒に探る
学生時代に感じた弁護士の魅力
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学は法学部でしたが、入学した時点では、将来弁護士になりたいとは考えていませんでした。同級生や先輩が司法試験の勉強をしている姿を見て、弁護士を目指すという道もあるんだなと思い、少しずつ興味を持つようになりました。
弁護士について調べる中で、組織に属さず、自分の判断や責任で経営ができることに魅力を感じました。困っている方と直接関わって、悩みを聞いて、解決の道を一緒に探っていくという働き方に対しても、すごくやりがいがあると感じたんです。
大学3年生のときに、司法試験を受けようと決意して、卒業後はロースクールに入学しました。
ーーどんな学生生活を送っていましたか。
アルバイトを色々やっていました。長く続けたのは、塾講師と、マガジンハウスという出版社の事務です。
大学の国際交流サークルにも所属していました。母校の早稲田大学は、毎年留学生がたくさん入学してくるんです。彼らを空港に迎えに行って寮まで案内したり、日本語でスピーチをしてもらう企画の運営をしたりしていました。留学生と一緒に料理の屋台を出すイベントを企画したこともあります。メニューを一緒に考えて、看板も手作りして…楽しかったですね。
ロースクールに入学してからは勉強漬けの毎日で、1日10時間くらい勉強していました。根を詰めすぎても続かないタイプだったので、友達と飲みに行ったり、アルバイトの予定を入れたりして、適度に息抜きしていました。
科目の中で一番好きだったのは刑法です。担当の先生の教え方がとにかく上手で、授業のたびに理解が深まり、勉強が楽しかったことを覚えています。
離婚事件に注力「依頼者の心の支えに」
ーー弁護士になられてからの注力分野をお聞かせください。
離婚事件に注力しています。弁護士になって様々な分野を手がける中で、「自分に向いているな」と思ったので、力を入れるようになりました。
弁護士が扱う案件は、大きく分けて、法人案件と個人案件の2つがあります。私は、個人のお客様と向き合って問題を解決することによりやりがいを感じるので、主に個人案件を扱っています。
個人案件の中でも、離婚事件はトラブルの内容が特に複雑です。考えなければならないことも膨大にあります。離婚するかどうか、財産をどのように分けるか、子どもがいる場合は親権や養育費をどうするか…。解決するまでに平気で1年、2年かかることも多く、依頼者はその間ずっと事件に向き合い続けなければなりません。精神的に参ってしまう方もたくさんいます。
離婚事件は、弁護士にとってもエネルギーがいる案件ですが、大変だからこそやりがいも大きいです。依頼者と日々連絡を取りながら1つ1つ問題を解決していき、人生の再出発をサポートしたいと思って取り組んでいます。
人の話を聞くことが好きなところも、離婚事件が合っている理由の1つかもしれません。依頼者の話をとにかくよく聞いて共感することは、どのような案件を扱うときも意識していますが、離婚事件では特に大切です。密にコミュニケーションを取って、わかったふりをせず、どんな話もじっくり聞くことを心がけています。
ーー依頼者の話を聞くことを重視しているのですね。
そうですね。依頼者が辛い気持ちのときこそ、弁護士が心の支えになる必要があると思っているので。
自分の視野を広げることも、仕事で意識していることの1つです。依頼者の境遇は様々で、会社の社長さんもいれば、生活保護を受けている方もいます。一人ひとり、置かれた立場や考え方が全く異なるので、凝り固まった価値観のままで話を聞くと、依頼者が「この弁護士は私のことを全然理解していないな」と感じてしまうと思います。
弁護士は、価値観をできるだけ広げていく努力が必要だと思います。プライベートでも様々な人と交流して話を聞いたり、幅広いジャンルの本を読んだりして、視野を広げようと心がけています。
ーー弁護士として活動してきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
国選弁護人として担当した、覚せい剤使用の事件です。執行猶予の期間中に再犯してしまったケースで、実刑はほぼ免れないケースでした。
本人が逮捕されているので、私から家族に連絡を取り、証人として裁判に出てほしいと伝えました。
本人が1回目に逮捕されたときには執行猶予がついたのですが、再犯防止に向けてどのような対策をするか、家族とほとんどコミュニケーションが取れていませんでした。
私が弁護人になってからは、刑務所を出た後、更生に向けてどう取り組むかを本人と家族で話し合えるようにサポートしました。家族に警察署に出向いてもらって本人と何度も対話を重ねました。最終的には、出所後は専門の病院で薬物依存症の治療をすることを決めて、家族で本人を支えていく体制を作ることができました。
後日、家族から、「刑務所に入ることにはなったけれど、すごく親身に、ゼロからサポートしてくださってありがとうございました」「今回の件で息子と向き合うことができました。出所後は更生に向けて家族で取り組んでいきたいです」と言葉をかけていただき、嬉しかったですね。
刑事事件において、被疑者・被告人と家族をどれだけつなげるかは、弁護人によってスタンスが全く異なります。私も必ず家族とつなぐわけではなく、事件ごとに、被疑者・被告人のために何が一番大事かを考えて対応しています。今回のケースの場合は、更生するために家族の存在が不可欠だと感じたので、家族と本人がしっかりコミュニケーションを取れるよう働きかけました。
結果として、家族が本人の更生をサポートできる体制を作ることができたので、自分が担当してよかったと思えて、印象に残っている事件です。
休日はサウナでリフレッシュ
ーー休日はどのようにお過ごしですか。
外出することが多いですね。ゴルフに行くこともありますし、旅行も好きです。
最近サウナにハマっていて、ときどき地方まで遠征しています。特によかったのは、静岡県にある「しきじ」というサウナ。サウナ好きの間では有名で、とにかく水風呂の質が最高なんです。そのまま飲めるくらいの綺麗な水で、肌触りもやわらかくて気持ちいいんですよ。
読書も好きで、小説でもビジネス書でもジャンルを問わず読みます。最近は心理学や経営など、仕事に役立ちそうな本を読むことが多いです。