生まれ変わっても、きっと弁護士になる
「正義の味方」に憧れて弁護士になろうと決めた
初めて弁護士という職業を母から聞いた時、「弱い立場の人を助ける仕事なんだよ」と教えられました。
その響きは私にとってスーパーヒーローのように感じられ、自分もそれを目指すほかないと直感しました。進学してもその気持ちは変わることがなく、迷わず弁護士になりました。
弁護士になって都内の事務所で経験を積んだ後、2013年に独立開業し、現在は分野を絞らずに、個人・法人問わず、幅広く仕事をしています。
人生や会社のピンチにおいて頼られる存在になるということは、依頼者の人生に大きな影響を及ぼす存在になり得るということですので、優しさと誠意、そして分かりやすさを持って接するというマインドを忘れずにいようと心に決めています。
意外と大事な“ファースト・インプレッション”
弁護士活動の中で意識していることは、“話し方”です。
「話し方がなんだ」と言われるかもしれませんが、私はこの話し方というものに、依頼者との相互理解、依頼者からの信頼の獲得のカギがあると考えています。弁護士業務は知識と経験を駆使してソリューションを提供するものと考えておりますが、それは依頼者あってこそ成り立つ仕事です。
依頼者の理解を得ずして良い仕事はできません。
語尾をぼかしたり、無意味な感嘆詞や副詞を付け加えたりすると、伝えるべき内容も曖昧になってしまい、話の中身も印象に残りません。
例えば、「できると思いますけど・・・」で終わらせるのと、「できると思います。けれども、●●というリスクや可能性は残ります。」と最後まで伝え切るのでは、印象が大きく違いませんか? 他にも、話をする際に「えー、●●はですね・・・えー・・・●●であって・・・」というよりも「●●は●●です」と言うのでは、内容は全く同じでも相手に伝える印象は大きく変わってきます。
ちょっとした違いですが、同じことを伝えるのに得られる信頼感に差異が出るのであれば実践しない手はありません。
揉め事を解決したくて弁護士に依頼しているのに、その弁護士に無用な不安感を感じるのでは、問題解決への道のりは遠のいてしまいます。
また、見栄えにも気を配るべきだと思っています。これは、「オシャレなブランド服を着る」ということではなく、清潔感のある服装を心がけ、相談室内も清潔に保つということです。
人は視覚からの情報に左右されることが多いです。勇気を出して法律事務所にやってきたのに、弁護士に清潔感がなければ、“きちんと仕事をしてくれるのだろうか”と不安になってしまう方もいらっしゃるでしょう。
人生に関わる悩みを共有する弁護士だからこそ、第一印象にも気を配ることは重要なことです。

リスクとリターンを説明する
少し前に、詐欺被害に遭った依頼者が事務所を訪れました。
大切な資産を失って憔悴している依頼者を見て、「何とか力になりたい」と思いました。
事件の経緯や相手方の属性、保有財産、人的関係や社会における立ち位置、メール・手紙・電話のやりとり等を調査の上、有効な手立てを講じ、最終的には依頼者に喜んでいただける結果を出すことができました。
詐欺事件に限ったことではありませんが、どんな事件でも最初のヒアリングが肝心です。
事件の時系列や内容を正しく事細かに聞き出せなければ、有効な証拠の存在に気づけず、解決が遅れたり得るべき成果が得られなかったりする恐れがあります。
だから、依頼者からのヒアリングを徹底し「このような事実があるのではないか」「あんな証拠が存在するのではないか」という想像力を働かせ、知恵を絞り、依頼者と共同作業で解決へのロードマップを描いていくことが大切なのです。
私は相談を受ける際、原則として相談内容を整理したものを議事録代わりに依頼者と共有しています。直接面談の際に挙げたリスクとリターン、その可能性について改めて説明するのです。 議事録として可視化することで、依頼者が何度も事件の進捗を見直せるようになりますし、ある程度の期間が空いた後や再度相談を受けた場合にも、自分自身の記憶喚起もできるというメリットもあります。
「弁護士に依頼したけど、次どうなるのか分からない」という状態は、依頼者の不安を煽ります。 理想的な解決を導くためにも、依頼者の不安な気持ちをできるだけ早く払拭することが必要不可欠です。
損得勘定で動いているうちは、本当にすべきことは見えてこない
2018年3月現在、2011年3月の東日本大震災から丸7年が経過しました。私は震災直後の5月より、被災地に出向いて、がれきの撤去を手伝ったり、避難所や仮設住宅に赴き、無償での法律相談活動に参加したりしました。
被災地に出向いたきっかけは、TVで目にしたあまりにも悲惨な実態に、「一人の人間としてできることがないか」と思ったからです。もちろんたまたま私が弁護士であるため、法律相談を受けるということが活動の中心とはなりましたが、「目の前の困っている人に何ができるか」という弁護士業の原点に立ち返ることもできました。
そして、「弁護士だから、弁護士業務しかしない」というのは、非常にもったいないことだと気がつきました。
何をするのにも、“弁護士としての仕事であるのか”とか、“報酬になるのか”とか、そういう損得勘定が一番先にきてしまうと、本当にすべきことは見えてこないし、自分の中にある潜在的な能力にも出会うことはありません。
困っている人がいたら、その方がどんなことで悩んでいようと、「弁護士にできることはない」と傍観するのではなく、自分にできることを考えて動く。そういう人間でありたいです。
弁護士が総合力を身につければ、もっと人の役に立てる
「先生はなんの専門ですか?」 これは私が、依頼者に最もよく聞かれる質問です。
病院に行くと“専門医”という言葉をよく耳にします。 医師の世界には専門医や認定医などの制度があり、病院内でも、各診療科は線引きされて、例えば眼科医が耳鼻科の仕事をやることは基本的にないと思います。でも、弁護士の世界にそのような制度はありません。
弁護士は、「離婚問題」や「相続問題」の専門家ではなく、「紛争解決」の専門家なのです。
だから弁護士は、どんな分野の問題に直面しても対応できるような総合力を身につけることが大事であると考え、常日頃から勉強を重ねています。
「どこから相談していいか分からない」
そんな方こそ、どうか気持ちを楽にして相談にいらっしゃってください。 目の前の課題の解決や物事の前進に向け、最良の方法を一緒に探していきましょう。
