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「客引き」のフリーランス化で店が風営法逃れ、続く「イタチごっこ」
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「客引き」のフリーランス化で店が風営法逃れ、続く「イタチごっこ」

高額請求などの「ぼったくり」被害の入り口になっているとして、条例などで各自治体が「客引き」の排除に向けた動きを進めているが、名古屋の繁華街で、客引きのフリーランス化が進んでいることが報じられた。

朝日新聞デジタルによると、従来型の店舗と契約している客引きは激減し、複数の店と契約を結ぶフリーの客引きが、名古屋屈指の歓楽街、錦三・栄地区で増えているという。

なぜ従来型の客引きが減り、フリーの客引きが台頭しているのか。ぼったくりの問題に詳しい古川穣史弁護士に聞いた。

●「店舗が摘発されないため、フリー装う」「歌舞伎町では以前からある手法」

「客引きの取り締まりに関する法令としては、まず、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例があげられます。

また、『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律』(風営法)においては、風俗営業を営む者は客引きをしてはいけないことが定められています。

さらに、お店が客引きから客を受け入れてはならないことなどを定めた、いわゆる『ぼったくり防止条例』を定める自治体もあります。

たとえば、東京都には、『性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例』があり、客引きからお店が客を受け入れてはいけないとされています」

客引きの側にも店側にも、さまざまな規制が定められているわけだ。客引きがフリー化が進んでいるということと、こうした規制はどう関係するのか。

「客引きがフリーであると装うということは、店舗に迷惑をかけない、つまり店舗が風営法で検挙されないということを意味します。

お店専属なのに、客引きがフリーを装うということは、東京では昔から行われていました。お店専属の客引きであっても、お店の従業員名簿には、その客引きの名前はなく、雇用の契約書もなく、携帯電話でやりとりをするのみで、お店専属であるという証明は警察であっても難しいことが多いのが実情です。

そのため、新宿の歌舞伎町では、客引きを店まで案内をさせて、客引きは迷惑防止条例、お店側は、ぼったくり防止条例の『客引きの受け入れ行為』があるとして摘発するという方法が最近みられます。

最近は、客引きへ積極的な取り締まりもあり、歌舞伎町で目立ったぼったくりをしている店は少なくなりました。

一方で、客引きも摘発されないように、いったん案内所を通すなどさまざまな抜け道を考え、『イタチごっこ』が続いている状況です。

また利用者側の立場で考えると、客引きなのか、店舗の呼び込みなのかだとわからないことが多く適法と違法の線引きが難しいということも問題です。

客引きを使うことによるリスクと優良店と呼ばれている店舗は客引きを利用していないという実態を理解することが重要だと思います」

古川弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

古川 穣史
古川 穣史(ふるかわ じょうじ)弁護士 八木良和法律事務所
夜11時に電話で相談してきた依頼者を助けるために歌舞伎町に赴いて以来、ぼったくりの案件を数多く手掛ける。東京都を中心にDV、ストーカーや刑事事件の被害者側などの案件を積極的に行う。会計事務所の法律顧問として一般民事事件、企業法務なども扱っている。

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