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日弁連、総務省の新たな町村議会案に反対「憲法上だけでなく、議論の透明性にも問題あり」
会見する日弁連の阪本康文副会長(8月29日、弁護士会館)

日弁連、総務省の新たな町村議会案に反対「憲法上だけでなく、議論の透明性にも問題あり」

日本弁護士連合会(日弁連)は8月29日に開いた定例会見で、総務省の有識者会議が3月にまとめた「町村議会のあり方に関する研究会報告書」について、反対する意見書を公表した。日弁連の阪本康文副会長は、研究会の提言に憲法上の問題が考えられるとし、「議論の透明性に問題がある」とも指摘した。

●パッケージ提供は国による義務付け・枠付け

総務省有識者会議の報告書は、人口減でなり手不足が指摘される小規模な町村議会について、二つの新たな議会の形を提言している。一つは、給与保障がある少数の専業議員(3人ー5人程度)が平日昼間を中心に担う「集中専門型」。もう一つは、給与保障がない多数の非専業議員が夜間休日を中心に担う「多数参画型」だ。

日弁連は、国側から議員活動や権限、議員報酬、兼職禁止などの要素を不可分のパッケージとして提供すること自体が、国による地方自治体への「義務付け・枠付け」にあたり、憲法92条(団体自治)と議会自律権の観点から問題だと指摘した。(憲法92条=地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。)

とりわけ、多数参画型では首長(自治体の長)が行う「契約の締結」や「財産の取得または処分」について、議会として議決する権限をもたないとされており、議会による監視機能が低下するという懸念も示した。

●国民全体に関わる議論が「非公開」

また、今回の総務省有識者会議は非公開で実施され、地方自治と密接に関係する全国知事会や全国市長会、全国町村会による傍聴も認められなかった。総務省はホームページ(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/choson_gikai/index.html )で議事概要を公表しているが、詳細なやりとりや発言者は伏せたまま。このため日弁連の阪本副会長は、「地方自治は国民全体に共通することで非公開にする事情はないのではないか」と語った。

有識者会議の「透明性」をめぐっては、複数のメディアが問題視している。

毎日新聞は情報公開請求をしたが、総務省の決定は「不開示」。見解を問われた野田聖子総務相は7月24日の閣議後会見で「テープ起こしは議事概要を作成するための参考メモであって、議事録ではない。議事概要の作成後は組織的に用いるものとして保有していないということから、行政文書に当たらないと判断して不開示としたものであります」と述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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