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米国で結婚した想田監督夫妻の「夫婦別姓訴訟」、初弁論で国は争う姿勢
今年6月、提訴した際に記者会見した映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻(東京・霞が関の司法記者クラブ)

米国で結婚した想田監督夫妻の「夫婦別姓訴訟」、初弁論で国は争う姿勢

選択的夫婦別姓を求め、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が起こした裁判の初の口頭弁論が9月11日、東京地裁で開かれた(古田孝夫裁判長)。想田監督夫妻は、アメリカで別姓のまま法律婚をしたにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法に不備があるとして、国を相手取って婚姻関係の確認などを求めて提訴。国は争う姿勢を示した。

●「海外で別姓の法律婚した夫婦の婚姻関係を証明できないのは立法不作為」

訴状などによると、想田さんと柏木さんはアメリカ・ニューヨーク州に在住の日本人で、1997年にマンハッタンにあるニューヨーク市庁舎で、夫婦別姓のまま結婚した。海外で結婚する場合は、現地の法律に基づいて行われれば、国内でも婚姻は成立しているとみなされるため、夫妻の結婚は有効に成立している(法の適用に関する通則法第24条)。

しかし、国内では夫婦同姓でないと夫婦の戸籍が作成されないため、法律婚した夫婦であるにも関わらず、戸籍上で婚姻関係を公証できない状態にある。そのため、法律上の不利益を被っているとして、婚姻関係の証明を受ける地位にあるとの確認を求めている。また、国が婚姻関係の証明方法を整備していないことによって被った精神的苦痛に対する慰謝料各10万円の支払いも求めている。

この日の口頭弁論では、夫妻の代理人である竹下博将弁護士が弁論要旨を読み上げ、「外国の法律に従った方式によって別姓のまま結婚した日本人夫婦にについて、長期にわたって婚姻関係を証明する制度を設けていない被告の立法不作為は、婚姻の自由を定めた憲法24条に違反する」などと主張、早急な整備を求めた。

これに対し、国は全面的に争う姿勢を示している。次回、口頭弁論は11月7日に開かれる。

(弁護士ドットコムニュース)

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