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レーシック後遺症訴訟が和解 目の痛みは1日中「デメリットを把握して」
会見に参加した原告の2人

レーシック後遺症訴訟が和解 目の痛みは1日中「デメリットを把握して」

視力を矯正するレーシック手術で後遺症が残ったなどとして、患者17人が「品川近視クリニック」を運営する医療法人社団翔友会(東京都港区)を相手に損害賠償を求めた集団訴訟は3月7日、過矯正による遠視の被害を受けた30~60代の男女6人について、法人側が解決金を支払うなどの内容で東京地裁で和解が成立した。金額は非公表。

東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた会見に参加した、原告の吉岡さやかさんは「レーシック手術を考えている人は、事前に自分で必ず調査をして、デメリットを把握してほしい」と呼びかけた。

●原告「デメリットの説明は一切なかった」

近視レーシックの手術には、視力1.2~1.5以上を目指す「完全矯正」とやや近視よりの視力0.8~1.0程度を目指す「低矯正」の2種類がある。個人の角膜の状態によって切除率は異なるが、完全矯正を目指した場合、結果的に過矯正となり「術後遠視」を引き起こすリスクもある。

遠視は網膜よりも後に焦点を結んでしまう状態で、近視と違い、遠くのものも近くのものもはっきりと見ることができない。その結果、眼精疲労や頭痛、めまい、吐き気などの症状を引き起こすこともある。

レーシック被害対策弁護団団長の梶浦明裕弁護士によると、和解条項には法人側が遺憾の意を表明した上で、レーシック手術について、年齢やライフスタイル、術前の視力を考慮し、デメリットについても患者に適切な説明を行うことなどが盛り込まれた。

原告の一人である吉岡さんは「痛みやぼやけは1日中発生し、日光やライトが眩しくて目が開けない人もいる。デメリットの説明は一切なく、ベルトコンベヤー式に手術を受けてしまった。法的な解決はなされたけれど、私たちの体は目を含めて完治しているわけではない」と話した。

梶浦弁護士は「メガネとコンタクトと違い、一度角膜を削ると元には戻せない。今の日本はレーシック手術の合併症に関する治療が不十分。被害を受けた人の真の被害回復の必要性を、学会や医師に訴えていきたい」と話した。

法人側は3月7日、取材に対し「担当者が不在のため答えられない」とした。
(弁護士ドットコムニュース)

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