「買い食い禁止」の中学校に通っているが、帰宅途中に駅の自動販売機でお茶を買っていたところを部活顧問の教師に目撃され、反省文を書かされたーー。ネットのQ&Aサイトにこのような体験をした生徒の親から、投稿が寄せられた。
投稿者の子どもは、炎天下、体調が悪くなったため、仕方なくお茶を買ったが、この事情を学校側は一切聞き入れず、どのような場合でも、教師の立ち会いのもとに買うべきだと主張。校則に問題はなく、反省文を書かせた処分についても「当然」との姿勢を貫いているそうだ。
このような学校側の対応をどう考えればいいのか。学校問題に詳しい宮島繁成弁護士に聞いた。
●学校外では親が子どもを監督するのが原則だが…
この問題には2つの論点が含まれています。1つは親の教育の自由と教師の教育の自由の関係、もう1つは学校と地域の関係です。
法的な意味で学校が責任を負うのは、教科授業、遠足、部活動など学校の教育活動に当たるところまでです。それ以外は、学校は原則として責任を負いません。学校の門を出た後は原則として親が権利と義務を負います。
ですから、帰宅途中に駅の自動販売機でお茶を買っても、親が了解している以上は、本来学校は指導できないことになります。
とはいえ、学校の教育目的からすると、私生活なら何をしてもいいということにもなりません。登下校中の生徒の安全を確保する要請もあるでしょう。両者の調整は昔から議論されており、バイクの免許取得に関して裁判になったケースもあります。
●地域住民からのクレーム対策の視点も
現在は別の視点で見る必要があります。地域との関係です。「電車内のマナーが悪い」「道ばたにゴミを捨てた」など、制服を見た地域住民から学校に直接クレームが入ることがあります。そうすると、学校としては、登下校中は、つまり学校の制服を着ている間は、生徒が問題を起こさないように、校則や指導によって生徒を管理・監督する方向をとらざるをえません。
2017年12月、中央教育審議会は、学校における働き方改革の中間まとめを発表し、学校と教師の業務の明確化・適正化を提言しました。学校や教師は、登下校中の安全確保や地域住民対策をどこまで担うべきなのか、改めて考える必要があるかもしれません。
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