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「飲み放題2000円」プランが地獄の展開…20人グループに「1人3品注文して」 後出しの注文強制、法的な問題は?
画像はイメージです(kai / PIXTA)

「飲み放題2000円」プランが地獄の展開…20人グループに「1人3品注文して」 後出しの注文強制、法的な問題は?

都心の繁華街で二次会の場所を探していた会社員グループ約20名が、客引きの店員に案内された居酒屋で「後出し注文強制のトラブルにあった」として、弁護士ドットコムニュース編集部に体験談を寄せた。

体験談を寄せた40代の女性会社員によると、仕事関係者との飲み会の一次会を終え、二次会の店を探していたある晩のことだった。お店の入ったビル前で若い女性店員から「飲み放題2000円で、全員、すぐに入れます」と声をかけられた。

「二次会なので食事もいらないですし。2000円で飲み放題ならちょうどいいなと思った」といい、その店に入ることにしたそうだ。軽いつまみ程度は頼むつもりだったと話す。

ところが、座席に案内され、おしぼりとお通し、メニューを渡された段階で初めて「お1人3品ずつ注文してください」と告げられた。店員は「枝豆とかアイスとか安いのでもいいんで」と説明したという。

1皿300円程度のメニューもあったが、仕方なく「20名×3品=60皿分」を注文することに。すでに一次会で満腹だったため、食べ物が残った状態で解散せざるを得なかったそうだ。

入店前に説明がなかった注文ルールを後から押し付けるこうした行為は、法的に問題がないのだろうか。また、客側に料金を支払う義務は発生するのか。大橋賢也弁護士に聞いた。

●「店側の要望を受け入れる義務を負わない」

──入店後、お通しを出された際に「1人3品ずつ注文してください」と言われたそうです。この場合、客は、言われたとおりに注文しなければならないのでしょうか?

客と店との契約関係は、客が店に飲食物を注文し、店が飲食物を提供するという飲食物提供契約と考えることができます。

本件では、店員が「飲み放題2000円で、全員すぐに入れます」と客を勧誘した行為が、契約の申し込みであり、客が「それなら」と店に入ることを決めた行為が、契約の承諾となります。

本件では、この時点で、客は店に1人2000円を支払い、店は注文された飲料を提供するという契約が成立したことになります。

しかし、それ以外は何も決まっていなかったので、食べ物を注文するかどうかは、客が決められることになります。客は、事前の説明を受けていなかった「1人3品ずつ注文してほしい」という店側の要望を受け入れる義務を負いません。

●執拗に求められたらどうすればいい?

──それでも店が、上記の要望を取り下げなかった場合、客は、どのような主張をすることができるか?

客引きをした店員は、「飲み放題2000円で、全員、すぐに入れる」と消費者の利益となる旨を告げ、「1人3品ずつ注文してほしい」という不利益となる事実を故意に告げていないので、消費者である客は、入店時に成立した「飲み放題2000円」という契約を取り消すことができます(消費者契約法4条2項)。

客が、飲食物の注文をする前に、上記の契約を取り消す旨の意思表示をすれば、当然のことながら、客には代金の支払い義務は発生しません。

●契約を取り消す前に、お通しを食べてしまっていたら?

──客が入店時に成立した契約を取り消した場合、すでに出されたお通しは、どのように取り扱うべきなのでしょうか?

客は、お通しを食べたか否かにかかわらず、お通しの代金を支払う必要がないと考えます。

理由は、客が消費者契約法4条2項に基づき契約を取り消した以上、客は「現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う」(同法6条の2)とされているためです。

「現に利益を受けている限度」(現存利益と言います)とは、お通しが残っていればそのお通しを返還すれば足りることを意味します。

逆に、お通しを食べてしまっていれば、現存利益はないことになり、客は、何らの返還(支払)義務も負わないことになります。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

大橋 賢也
大橋 賢也(おおはし けんや)弁護士 川崎エスト法律事務所
神奈川県立湘南高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラソン。

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