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美容系企業でダイエット強要はパワハラ? コンフィデンスマンJPにみる法律問題
フジテレビHPより

美容系企業でダイエット強要はパワハラ? コンフィデンスマンJPにみる法律問題

5月28日(月)に放送されたフジテレビ系ドラマ「コンフィデンスマンJP」の第8話「美のカリスマ編」に、女優のりょうさんがゲストとして出演し、美容関連事業を展開する総合商社の代表、美濃部ミカを演じた。

元モデルのミカは、激高しやすい性格。従業員にも美しくあるよう厳しく指導していた。ところが、ミカの会社に転職してきた女性従業員の1人は、体型管理が甘かったので、ミカから、他の従業員の前で日常的に「ブタ」「痩せろ」等の言葉を浴び、ダイエットを強要された。結局、精神的に病み、会社をやめてしまった。

美容系の会社で、従業員にダイエットをさせることは法的に問題ないのか。大部博之弁護士に聞いた。

●パワハラに該当する理由

「美容系の会社が、従業員に対してダイエットを推奨する、このこと自体になんら問題はありません。問題は、これを『強要する』ということが許されるかです」

強要は許されないのか。

「パワハラといえるためには、職場において、『業務の適正な範囲を超えて』、精神的・身体的な苦痛を与えることをいいますから、問題は、ダイエットの強要が『業務の適正な範囲』を超えているかどうかにあることになります」

美容系の企業の場合、どう考えればいいのか。

「当の会社が美容系の会社であり、企業イメージとしてその従業員も、当の会社が理想とする体型であることが望ましいことは言うまでもありませんが、業務の内容は、あくまでも従業員自身の体型管理ではなく、顧客に対する美容サービスなのであって、業務の範囲を超えるものといわざるをえません。ですから、パワハラに該当するといわざるをえません。

もっとも、採用時において、雇用条件として、一定の体型を求めることがあらかじめ約束されていた場合などは、パワハラには該当しない場合もありえますが、その場合でもあっても、適切な方法で指導する必要があり、他の従業員の前で罵るようなやり方で追い込んでいくような場合には、適正な手段とはいえず、パワハラに該当することになるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

大部 博之
大部 博之(おおべ ひろゆき)弁護士 小笠原六川国際総合法律事務所
2006年弁護士登録。東京大学法学部卒。成城大学法学部講師。主に企業法務、訴訟を扱う。

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