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高橋まつりさん自殺、電通調査結果「パワハラを否定できない」「不法行為はなかった」
電通の石井直社長(中)、中本祥一副社長(右)、越智信喜人事局長

高橋まつりさん自殺、電通調査結果「パワハラを否定できない」「不法行為はなかった」

電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した問題で、労働基準法違反の疑いで書類送検された電通は12月28日夜、東京都内で記者会見を開いた。石井直社長は「高橋まつりさんのご冥福を深くお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆さまに心よりお詫び申し上げます」と謝罪。自身は2017年1月の取締役会を経て、3月に辞任する意向を示した。

厚生労働省東京労働局は28日、高橋さんの直属上司だった幹部社員と、法人としての同社を労働基準法違反の疑いで書類送検していた。

石井社長は「このような悲劇が二度と起こらないようにする」「コンプライアンスを遵守し、会社のアイデンティティを再点検し、新しい企業文化を社員と一緒に創り上げていく」と社をあげて、改革を推進していく姿勢を強調した。

従業員の労働環境に問題のある企業を選ぶ「ブラック企業大賞」で、電通が今年の大賞を受賞したことについても、「謙虚に受け止めて反省の材料にしたい」とした。

●「パワハラとの指摘も否定できない、行き過ぎた指導がなされていた」

高橋まつりさんの自殺は、長時間の過重労働が原因だったとして労災認定されている。会見では、中本祥一副社長が、高橋まつりさんの自殺についてと長時間残業の実態について、内部調査と法律事務所による調査の結果を報告した。

長時間労働と職場での人間関係などが、高橋さんにとって強い心理的ストレスとなり「自殺の原因となった可能性は否定できない」、また「パワハラとの指摘も否定できない、行き過ぎた指導がなされていた」などと認めた。

一方で、調査を委託した法律事務所の見解として、「一部に行き過ぎた指導や適切とは言えない言動が見受けられたものの、法的に不法行為に該当する行為は認められなかった」という報告があったと表明した。

電通で長時間残業が蔓延している問題について、「『過剰なクオリティ志向』『過剰な現場主義』『強すぎる上下関係』など、当社独自の企業風土が大きな影響を与えていると考えている」と述べた。今後の改革として、「経営の優先順位において社員を第一に置く」として、業務量の適正化、組織運営のあり方と各種制度の見直しを進めていく考えを示した。

(弁護士ドットコムニュース)

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