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長時間労働で適応障害、三菱電機元社員に労災認定…労働時間の申告「削減指示された」
労災認定された男性は厚労省記者クラブで会見を開いた

長時間労働で適応障害、三菱電機元社員に労災認定…労働時間の申告「削減指示された」

神奈川労働局藤沢労働基準監督署は11月24日、三菱電機で働いていた元社員の男性(31)が長時間労働が原因で精神疾患になったとして、労災認定した。男性が加入する労働組合が11月25日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見をおこなって明らかにした。

労働組合よこはまシティユニオンによると、男性は大学院卒業後の2013年4月、三菱電機に入社し、同社の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)でレーザーの研究についた。ところが、その年の12月ごろから月100時間を越える時間外労働があり、2014年4月ごろ「適応障害」を発症、同年6月から休職した。

今回の労災認定では、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事のあと、長時間労働があった」として、心理的負荷の強度が「強」と認められた。男性は2016年6月、会社が定めた休職期間の満了で解雇となった。現在は「うつ病」の診断を受けて、自宅で療養をつづけているという。

労働基準法では、労災休業期間中の解雇は原則として無効とされていることから、よこはまシティユニオンの川本浩之書記次長は会見で、「会社には解雇をただちに撤回するよう求めていく」と述べた。会見に同席した男性は「(労災認定は)一つの区切りになった。一部だが、自分の尊厳が取り戻せた」と話した。

●「日本社会全体として取り組む必要がある」

男性側によると、最長で月160時間の時間外労働があったという。労働時間は自己申告制とされていたが、男性は「上司から『40時間未満でつけろ』といわれていた。メールでも同様の指示があった。39時間(という記録)だったら怪しまれるので、『不自然にならないようにしろ』と指示されていた」と説明した。

男性の代理人をつとめる嶋崎量弁護士は会見で「『自己申告』のかたちをとって、使用者が強制しているだけ。(こうした慣習が)日本を代表する大企業でもまかり通っている。日本社会全体として取り組む必要がある問題だ」と指摘した。川本氏は「自己申告で労働時間管理はサービス残業の温床だ」と訴えた。

男性は「長く険しい道程だった。何度も無理かなと思った。大勢の人の支援でここまで来ることができた」「家族のほか、医者や弁護士、労働組合、心ある人たちが少なからずいる。苦しんでいる人がSOSを出すことを待っている。どうか病気になる前もなった後も相談してください」と、同じように過重労働で悩む人に向けてメッセージを送った。

三菱電機広報部は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「労基署の判断を確認の上、対応を検討いたします」とコメント。長時間労働については「36協定の中で適切に対応している」という認識を示した。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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