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「今見たら爆笑」高齢患者を暴行、動画撮って笑い合う…20代看護助手が法廷で語った軽すぎる「ノリ」
大阪地裁が入る合同庁舎(白熊 / PIXTA)

「今見たら爆笑」高齢患者を暴行、動画撮って笑い合う…20代看護助手が法廷で語った軽すぎる「ノリ」

勤務先の病院で、高齢の入院患者に暴行を加え、その様子を撮影。さらに同僚に共有して、「今見たら爆笑」などと笑い合っていたという看護助手の男性。そのスマートフォンに残された動画やLINEのやり取りが、事件の異様な実態を浮かび上がらせた──。

大阪地裁は6月18日、暴行、傷害の罪に問われた20代男性の公判を開き、検察官は懲役2年を求刑して結審した。被告人は同僚とともに、70代から90代までの入院患者3人に暴行を加え、その様子を動画に収めて楽しんでいたという。

理解に苦しむ犯行だった。法廷でも、その背景を容易に理解できるものではなかった。一方で、被告人の規範意識の欠如をうかがわせる供述や、以前の勤務先でも患者への不適切な行為で自主退職していた事実などが明らかになった。(裁判ライター・普通)

●高齢者3人に対して暴行

被告人は20代男性。外見や受け答えには年齢相応の若さが感じられた。

起訴状によると、勤務先だった病院に入院していた70代から90代までの患者3人に対する暴行、傷害の罪に問われている。

Aさんへは棒状のもので頭部や腹部をたたき、Bさんには指を熱湯につけたうえ、手のひらをヒーターに押し付けてヤケドを負わせた。Cさんへは頭に段ボールをかぶせて平手打ちし、身体を押して転倒させたという。

被告人はいずれの起訴事実も認めた。

●動画に残った被害者の悲鳴

検察官が請求した証拠からは、Aさんへの暴行の様子が克明に浮かび上がった。

動画には「やめてや」「痛いて」「いい加減にして」と抵抗するAさんに対し、「演技、演技」「正当防衛」「泥棒しているの言うで」などと言いながら暴行を続ける様子が記録されていたという。

その動画を共有した同僚とのLINEのやり取りも証拠として示された。

「人が人にすることやないやろ」「今見たら爆笑」などと笑い合う一方、「これ、もし自分の婆ちゃんがやられていると思ったら」と送る同僚に対し、被告人が「おっと、それ以上は」と返すなど、悪ふざけの延長の“ノリ”も明らかになった。

捜査段階では、「暴力をふるって嫌がる様子を撮って、笑い合ったり、コメントが欲しかった」と供述。また、「Aさんは普段から問題行動が多かった」「僕が気にしていることを言ってきたりする」と、自身の行為を正当化するような説明もあった。

Aさんは認知症があり、被害に遭ったことすらも忘れてしまう状態だったという。そのため、家族は何度も繰り返された暴行を知り、「卑劣な人間を許すことはできない」と厳しく処罰を求めた。

●「ノリでやってしまった」

弁護人の被告人質問で、被告人は犯行動機について「仕事のストレス」「周囲に流され、善悪の判断がつかず、ノリでしてしまった」などと答えた。

被告人作成の反省文でも「業務の認識の甘さ」と記していたが、高齢患者への暴行は「業務の認識」の甘さで説明できるものではない。

被告人は、被害者3人に謝罪文を書いたものの、受け取りを拒否され、慰謝料も支払われていないという。

「大きい金額はいきなりは無理なので少しずつでも」と支払いの意向は示しているが、いまだに被害者家族らと交渉もおこなえていないという。

現在はアルバイトをしながら生活費を家族に入れており、「やったことが絶対ダメなので」として、今後は看護・介護の仕事には就かない考えを示した。

●以前の病院でも患者への暴行で自主退職

検察官は「(自分がどれほど)酷いことをしているかわかってます?」と問いただした。被告人はうなずきながらも次のように答えた。

検察官:どうしてわかってて繰り返すんですか。
被告人:やっぱ、周りが面白がってやってしまって、歯止めが利かんくて。

検察官:学生時代からいじめをしたりしてたのですか。
被告人:見てただけで、関与はしていない。

さらに、以前勤務していた精神科病院で「そういうのを普通に見てきたんで」と話したが、具体的には暴れる患者を職員が押さえつける話で、今回のような暴行と結びつくようなものでもなかった。

一方、その病院でも患者にアルコールを吹き付ける行為をして、自主退職を促されていたことも明らかになった。その後すぐに勤務したのが今回の病院だった。

当初は暴行はしていなかったものの、動画を共有する同僚と親しくなると再び暴行を始めたという。上下関係はなく、暴行を始めたのは同じ時期だと説明したが、動画には被告人が同僚に指示を出して暴行させる場面も残されていた。

Aさんについては「言い返す反応を見たくて」、Bさんについては「迷惑行為が頻繁に見られた」「うっぷんを晴らすため」と供述。ヤケドで水ぶくれになった患部はガーゼで拭いただけで、看護師に報告することもなかった。

●検察官「人間の尊厳を踏みにじる、醜悪な行為」

検察官は、看護助手の立場を利用し、認知機能が低下し抵抗もできない被害者に対し、動画を撮影しながら暴行を加えた犯行は人間の尊厳を踏みにじる「醜悪な行為」と強く非難した。

さらに、過去にも患者への不適切行為がありながら反省することなく犯行をエスカレートさせたことなどから、再犯のおそれもあるとして懲役2年を求刑した。

これに対し、弁護人は、犯行を認め反省していることや、家族による監督が期待できることなどを挙げ、若年で前科前歴のないことから犯罪傾向は進んでおらず、執行猶予付き判決が相当だと主張した。

最後に被告人は「今回したことで、いろんな人に恐怖とか傷を与えてしまい、本当にすみませんでした」と謝罪の言葉を述べた。

看護や介護の仕事に就かなければ、まったく同じ形の犯行は防げるかもしれない。しかし、法廷では「周囲に流されやすい」という自身の性格を説明しながらも、規範意識とどう向き合い、再犯を防ぐのかという具体的な道筋は示されなかった。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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