「夜中の授乳では一度も起きなかったのに、サッカーのためなら起きられるんだね」──。
サッカーW杯の深夜中継をきっかけに、育児に非協力的な夫への不満がThreadsで相次いでいます。
ある女性は、夫から「2時に起こしてくれる?」と頼まれたと投稿。出産後、夜間授乳はほぼ一人で担ってきたといい、「娘のお世話では起きられないのに、サッカーのためには起きられるのかと思った」と複雑な思いを明かしました。
この投稿には6万件以上の「いいね」が寄せられ、「育休とってる夫は夜泣きでは起きないけどW杯では起きた。育休とは?」「起きられるなら、これから夜のお世話はずっとやってください」といった共感の声が相次いでいます。
日本代表は敗退しましたが、W杯は7月19日(決勝)まで続きます。
夜泣き対応や夜間授乳をほとんど一方の親に任せきりにすることは、法的にどのように考えられるのでしょうか。
●育児分担に「法律上のノルマ」はない
育児の分担について、法律が「夜泣きは何回ずつ対応する」「授乳は交代で行う」といった具体的なルールを定めているわけではありません。
夜泣き対応をしなかったという一つの出来事だけで、ただちに法的責任が生じたり、離婚が認められたりすることは、通常ありません。
しかし、2026年4月に施行された改正民法(令和6年改正法)では、父母が子の監護を行うにあたって「互いに人格を尊重し、協力しなければならない」という責務が法律上明確に定められました。
育児は単なる夫婦間の「助け合い」ではなく、親として子どもの利益を守るための法的義務でもあります。
夜泣き対応をしなかったからといって、ただちに義務違反になるとは言えませんが、自分の趣味(W杯観戦など)を優先して合理的な理由なく協力を拒み続けることは、夫婦関係の評価に影響する可能性があります。
●積み重なれば「離婚原因」の一事情になることも
もっとも、育児や家事への非協力が長期間続き、一方に過度な負担が集中して夫婦の信頼関係が失われた場合には、裁判で離婚が認められる「婚姻を継続し難い重大な事由」を判断する事情の一つになり得ます。
今回の投稿に多くの共感が集まったのも、「サッカーを見ること」が問題なのではなく、「趣味のためには起きられるのに、子どものため、ひいては妻のためには起きてくれなかった」という積み重ねへの失望が、多くの人の経験と重なったからでしょう。
こうした不満は一つひとつは小さく見えても、話し合いができないまま何年も積み重なれば、夫婦関係の破綻につながり、離婚を考えるきっかけになることもあります。
大切なのは、育児を「手伝う」という意識ではなく、「夫婦がともに担うもの」という共通認識を持ち、日頃から役割や負担について話し合っておくことです。(監修:濵門俊也弁護士)