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組合「10%賃上げを獲得したことは画期的」、早大・非常勤講師の待遇改善問題が決着
首都圏大学非常勤講師組合・早稲田ユニオンの大野英士代表(中)

組合「10%賃上げを獲得したことは画期的」、早大・非常勤講師の待遇改善問題が決着

早稲田大学で教える非常勤講師の待遇をめぐって、大学と非常勤講師の労働組合が2013年から対立していた問題がようやく決着を迎えた。首都圏大学非常勤講師組合・早稲田ユニオンが4月6日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見を開いて、非常勤講師の「賃金アップ」などで、大学側と合意したことを明らかにした。

合意内容は、大学側が、(1)日本人と差を付けて支給していた外国人の「講師給」を廃止し、「一般講師給」として一本化すること、(2)外国人講師にとって不利益変更とならないように調整給を支給すること、(3)日本人講師と新規採用の外国人講師に支給される「一般講師給」を2018年までに2013年度比10%アップすること、など。

組合によると、この賃金アップによって、非常勤講師の1週1コマ(授業)あたりの月給が、49歳以下で3万800円、50歳以上で3万3110円となる。早稲田ユニオンの大野英士代表は会見で「非常勤講師の組合が10%賃上げを獲得したことは画期的な成果だと思う。『非正規問題』の抜本的解決のきっかけになれば」と話した。

●合意よって「刑事告訴・告発」を取り下げる

ことの発端は、労働契約法の改正によって、2013年4月から、有期雇用の労働者の契約が5年を超えて更新された場合、無期雇用に転換できるという「5年ルール」が始まったことだ。これを受けて、早稲田大学では、非常勤講師の契約期間の上限を「5年」とする就業規則をもうけたことから、非常勤講師が反対していた。

昨年11月には、大学側と非常勤講師の組合側が、東京都労働委員会の仲介で、「上限5年の撤回」で和解していた。組合側はさらに、非常勤講師の待遇改善を求めて、大学側と団体交渉を続けて、今回の合意に至った。合意は3月28日付け。

同組合は2015年、日本人の非常勤講師と外国人講師の間での賃金格差について、労働基準法違反(国籍による差別)だとして、大学と総長、理事を刑事告訴・告発していたが、今回の合意によって取り下げた。

首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長は、弁護士ドットコムニュースの取材に「まだ未解決の問題が残っているが、今回の合意によって、大学と組合は完全に『和解』したことになる。今後は、大学側と協力しながら、より良い労働環境にしていきたい」と話した。

早稲田大学は4月7日、弁護士ドットコムニュースの取材に「なお協議中の案件もあるが、現時点で合意できた事項について合意した。引き続き真摯に対応していきたい」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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