40代男性「求人詐欺」で労働審判申し立て「正社員として応募したら契約社員だった」

会見するAさん
2016年03月08日 18時10分
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求人票には正社員とあったのに、応募してみたら有期雇用の契約社員だったーー。いわゆる「求人詐欺」に遭い、その結果、2カ月ほどで辞めさせられたと主張する40代の男性Aさんが38日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見を開いた。

Aさんは、正社員としての地位の確認のほか、給与や損害賠償など約500万円の支払を求め、昨夏まで勤務していた横浜市内のシステム開発会社を相手取って、4日前に労働審判を申し立てたばかり。Aさんは「同じような被害にあう方をこれ以上増やさないためにも、有利な審判になってほしい」と力を込めた。厚生労働省によると、ハローワークの求人票と実際の労働内容が違うという苦情・相談は2014年度に約12000件あったという。

会見には代理人の笠置裕亮弁護士とNPO法人POSSEの今野晴貴代表も同席。笠置弁護士は、「2カ月では雇用保険すら受給できず、今後、正社員での就職も非常に難しいだろうという状況に追い込まれた」と指摘した。

一方、今野代表は「(求人詐欺が)もはや採用技術になっている」と言い、「契約書にサインしてしまった人は、問題にすると会社にいられなくなってしまうし、契約が締結されていると労基署も動きづらい。自分で裁判を起こさないと表に出てこない」と問題の根深さを解説した。

「まさか簡単に短期間で辞めさせられるとは」

Aさんは、ハローワークの出先機関に「正社員希望」として登録しており、昨年5月にシステム開発会社から求人票と面接通知を送られた。受け取った求人票には、年俸400550万円で管理職を募集するとあり、面接の通知書にも、求人内容は求人票の通りである旨が書かれていた。

Aさんは好条件だと受け止め、ほかに1社の内定や複数社の面接予定があったが、会社側の指示に従って、断りの連絡を入れたという。

しかし、入社直前になって、採用担当者から「うちの会社は採用するときは全員、契約社員」などといった話があったそうだ。就職後に渡された雇用契約書でも、地位は契約社員とされ、雇用期間も1カ月ごとの更新で最長6カ月と書かれていた。

Aさんは「(求人票とは)ニュアンスが違うなと思った」が、求人票に半年の試用期間があると書かれていたため、「形だけの話で、6カ月たつと正社員になる」と思ってサインした。求人票との違いについて、会社からの説明はなかったという。

2カ月後、会社は「能力不足」を理由に、Aさんとの契約を更新しなかった。「事前に注意や警告もなかった。夕方の帰り際、出口近くの会議室に呼び止められて、いきなり通告された。まさか自分が簡単に短期間で辞めさせられるとは思わなかった」(Aさん)

Aさんは求人票に基づき、正社員での契約が成立していると主張している。

「針のむしろかもしれないが戻りたい」

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、システム開発会社の担当者は「書類も届いていないし、問い合わせもないので、今の段階では何とも答えられない」としつつ、Aさんがかつて所属していて、「契約期間満了で契約を継続しなかったというのは確か」と答えた。

求人票と雇用契約書の内容の違いについては「雇用するに当たって、『正社員ではなくて、最初は契約社員でお願いしたい。それでもよろしいですか』とご本人に確認したところ、それでも構わないということでしたので、雇用の話を進めたという経緯がある。ご本人は何かその辺りを勘違いされているようだ」と回答。解雇理由についても、「間違いが多く、申し訳ないが一定のレベルに達していなかった」と話した。

会社の主張とは大きな食い違いがあるが、Aさんは「主張が認められれば戻りたい。針のむしろかも知れないが、当時提示された条件以上の求人が見つかる状況にない。きちんと仕事をする用意はある」と痛切な表情で話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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