トヨタ自動車の100%子会社で働く社員の30代男性(休職中)が、上司からガムテープを投げつけられたり、「反社にも親切で礼儀正しい人はたくさんいる。お前なんかよりよっぽどまともだ」といった発言をうけ、精神障害を発症し、2023年10月に労災認定された。5月21日に都内で開いた会見で、男性が明らかにした。
男性と上司の所属子会社と、出向先子会社に対して、休業中の補償など約1240万円を求めて横浜地裁に訴訟を起こしている。男性側によれば、労災認定後も会社は「発病について責任を否定する態度」だったという。
●「俺が本当に怒ったらお前なんか血みどろで病院行きだ」と暴言
会見や訴状などの資料によると、トヨタモビリティ東京社員の男性は、2020年4月頃から、出向先のトヨタユーゼックで上司によって「お前は無能だ」「能力が低い」「俺が本当に怒ったらお前なんか血みどろで病院行きだ」などの暴言をうけたという。
また、この上司からガムテープを投げられたり、胸を押されるなどしたこともあわせて、適応障害を発症し、2021年1月から現在まで療養中だという。横浜南労基署は2023年10月23日に、精神障害を労災認定した。提訴は2024年4月5日付け。
男性の代理人をつとめる西川治弁護士によれば、これらの暴言や暴行の事実については、労基署の調査や社内調査によって認められているとしている。
西川弁護士は、会社側は訴訟を通じて「お前は無能だ」「能力が低い」という発言は「パワハラに該当しない」との主張を維持しているとして、そうした対応を問題視する。
男性は会見で「会社には、悪いことは悪いこととして対処してほしい」と話した。男性側によれば、上司は減給0.5日の懲戒処分を受けたという。
●訴えられた子会社は「回答を控える」
トヨタモビリティ東京は取材に「係争案件のため裁判に影響することから、弊社からの回答は控えさせていただきます」とコメントした。
トヨタユーゼックは、担当者が電話で折り返すという。