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ウーバーに配達員との団交義務命令、「プラットフォームだからという話は通じない」ユニオンが会見
会見するウーバーイーツユニオンのメンバーたち。中央が渡辺雅史執行委員長

ウーバーに配達員との団交義務命令、「プラットフォームだからという話は通じない」ユニオンが会見

ウーバーイーツ運営会社に団体交渉を拒否されたとして、ウーバーイーツの配達員たちでつくるウーバーイーツユニオンが東京都労働委員会に救済申立てをしていた件で、都労委は11月25日、配達員たちを労働組合法の労働者と認め、ウーバー側(ウーバージャパン株式会社、ウーバーイーツジャパン合同会社)に対して、団体交渉に応じるよう命令した。

命令を受けて、ユニオンは記者会見を開き、顧問の川上資人弁護士が「都労委は、労働の詳細をみて、労働組合法が適用されると判断した。(ウーバーが主張してきたような)プラットフォームにすぎないとか、シェアリングエコノミーだからという話ではない」と述べ、今後の団体交渉に応じるよう主張した。

●「明らかな交渉力格差がある中で、より公正な取引環境の構築へ」

今回の命令に当たっては、配達員たちが、労働基準法や労働契約法の労働者よりもハードルの低い、労働組合法の労働者にあたるのかどうかが争われていた。

都労委の命令では、配達員が飲食物を注文者に配達する割合が、注文全体の99%を占めることや、配達員の評価制度やアカウント停止措置などにより、配達員たちの行動を統制していること、インセンティブをもうけて専属的な配達員を確保していることから、配達員が事業組織に組み入れられていると判断した。

他にも契約内容の決定や変更においても、会社が一方的・定型的に決定していることや、配送料は労務の提供に対する対価であることなど、複数の基準を総合的に判断して、労働組合法の労働者と認めた。

川上弁護士は「法律として真新しいことはない。ネットの発達とともにプラットフォームが出現したが、働く人との間に明らかな交渉力格差がある。都労委が、より公正な取引環境を構築すべきだと主張したことが今回の意義だ」と語った。

●「ウーバー側にみんなでまとめた意見を伝えて解決したい」

ユニオンの渡辺雅史・執行委員長は「(ウーバー側と)話し合いをしたい。配達員たちは自由であると同時に、一人一人が個々で働く形になっていて、横のつながりがない。運営側にみんなでまとめた意見を伝えて解決したい」と語り、土屋俊明・前執行委員長は「最初に団体交渉を申し入れてから3年以上かかった。これまでに出してきた証拠は膨大な数にのぼる。(今回の命令は)いろんな人の思いの結晶だ」と力を込めた。

ウーバーイーツ配達員のような単発で働くギグワーカーについては、世界的に法的保護をどうするのかが大きな議論になっている。

川上弁護士は「配達は常に危険と隣り合わせなのに、今までの何の立法措置もなく、どう保護していくのかという議論が全然進んでいなかった。日本でも社会的認知が少しずつ進んでいけばいい」と話している。

ユニオンは今後、報酬算出方法の透明化などを求める要望書をウーバー側に郵送して、団体交渉を求める。ただ、ウーバー側の出方によっては、中央労働委員会の再審査や裁判に移行する可能性もあり、そうなると長期化も予想される。

●ウーバー側「再審査の申し立ても含めて、今後の対応を検討」

ウーバージャパンは、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、以下のようなコメントを出している。

「東京都労働委員会の今回の判断は、配達パートナーの方々が重視されるフレキシブルで独立した働き方などを十分に考慮しないものであり、誠に残念に思っております。判断の内容を精査した上で、再審査の申し立てを含めて、今後の対応を検討してまいります。

配達パートナーの方々はウーバーイーツにとって大切な存在であり、弊社は、配達パートナーの方々の地域社会や経済への多大な貢献に日々感謝しております。弊社は、ウーバーイーツアプリに関する配達パートナーの方々のご意見に、引き続き耳を傾けてまいります」

都労委の命令書はサイトで公開されている。

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