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「労働環境を少しでも良くしたい」アマゾン労組幹部が普通解雇、無効訴え提訴
普通解雇された元社員(左から2番目)(2021年4月28日、東京・霞が関の厚労省記者クラブ、弁護士ドットコム撮影)

「労働環境を少しでも良くしたい」アマゾン労組幹部が普通解雇、無効訴え提訴

アマゾンジャパン(東京都目黒区)で働いていた40代男性が4月27日、普通解雇されたのは不当だとして、解雇無効と解雇された後の賃金支払いを求め東京地裁に提訴した。

男性は「東京管理職ユニオン」アマゾン支部の支部長を務めており、労働審判を申し立てていた(現在は民事訴訟に移行)。

都内で会見を開いた男性は「アマゾンという会社のことはとても大好きだし今後も頑張っていきたいと思っているが、労働環境を少しでも良くしたい。突然退職してくださいと言われるようなプレッシャーの中で仕事をするのは恐ろしいもの。なんとか改善したい」と話した。

●会社側は3月10日付で普通解雇を言い渡し

訴状などによると、男性は2013年5月に入社。営業本部などをへて、2018年1月から一般家電をあつかう出店者に「アマゾンプライム」の利用を提案する販売促進を担当していた。

2019年2月、上司から「成績が悪い」などと言われ、社内で「コーチングプラン」と言われるPIP(業績改善プログラム)の開始を告げられた。課題が設定され、男性は数値をいずれも達成。しかし、上司から「できたとは認めない」などと言われたため、「東京管理職ユニオン」のアマゾン支部に加入。7月から団体交渉をおこなったが、回答は得られなかった。

また、2019年11月1日付で、「機密性の高い情報を外部に提供していた」として、年間10%の減給をともなう降職・降格の懲戒処分を通知された。しかし、具体的にどのような行為をおこなったかについては、記載がなかったという。

男性は2020年3月、具体的な懲戒理由を明らかにせず降職・降格されたのは不当だとして、給与の差額支払いや慰謝料などを求めて労働審判を申し立てた。東京地裁は2020年6月、懲戒処分の無効と減給分賃金支払いを命じる審判を下した(会社側の異議申し立てにより、7月に民事訴訟に移行)。

2021年2月になると、会社側は男性に対し退職勧奨をおこなうようになり、会社側は3月10日付で普通解雇を言い渡した。

解雇理由については、「2019年11月11日付の降格後に設定された目標を達成せず、勤務成績を改善する意欲を示さなかった」「業務用パソコンから業務関係のデータを外部USBに移動した」「複数の法人の代表社員を務めている」と説明した。

●コーチングプランやPIP、組合への相談相次ぐ

代理人の梅田和尊弁護士によると、男性は2019年10月から取引先を外されたり、チーム会議の参加や仕事に必要なツールの利用を禁止されたりしていた。

解雇について「Aさんが労働組合に加入し委員長を務め、労働審判などをしてきたことに対する報復措置だろう」と指摘。解雇理由はいずれも「客観的に合理的な理由もなく、社会通念上相当でもない」と主張している。

男性によると、組合に寄せられる相談の9割がコーチングプランやPIPに関するものだといい、男性は「こうした仕組みがあること自体が、社員のやる気やモチベーションを下げるし、成果が上がると思えない」と話した。

●アマゾン「コメント差し控える」

アマゾンジャパンは「係争中の案件につきましては、コメントを差し控えさせていただきます」としている。

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