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「第二の私たちを生み出すな」就職氷河期世代、毎月の10万給付と学費無償化を求める
会見の様子(2021年3月16日、都内、弁護士ドットコムニュース撮影)

「第二の私たちを生み出すな」就職氷河期世代、毎月の10万給付と学費無償化を求める

新卒時に深刻な就職難となった「就職氷河期世代」(現在おおむね30代後半〜40代後半)の当事者団体は3月16日、新型コロナ感染拡大を受けて、国に、定期的な10万円の現金一律給付と、学生の学費無償化を要請した。

「今動かなければ、第二の氷河期世代を生み出すことになる。自分たちのような辛い思いを学生にさせないで」と呼びかけた。

●氷河期世代はコロナ失職にまた泣いている

当事者団体「就職氷河期世代当事者ネットワーク」は昨年2月から、10万円の定額給付を求めて、要請活動をおこなってきた。

緊急事態宣言の発令と延長を受けて、様々な業種で、解雇や雇い止めなどが問題になっていることから、3月16日、厚労省と文科省に、早急な10万円の現金一律給付と、コロナ収束までの定期的な10万円給付を求めるとともに、学費無償化の実現も請願した。

同日、会見して、不安定な氷河期世代がコロナ禍で仕事を失っていると呼びかけた。

岡本純一さん(44)は職業訓練校を受講し、昨年12月に企業に入社したものの、今年2月に解雇を通告されたという。

「1997年に専門学校を卒業してから、私の履歴書に記載される企業の数は10社以上です。氷河期世代は長く勤めることがなかなか難しい。コロナ禍で企業も業績が不調となり、我々の世代が失業していきます。10万円給付が必要です」と訴えた。

シングルマザーの渡辺てる子さん(61)は氷河期世代の息子を持つ。昨年12月、物流倉庫で派遣社員として働いていた長男(40)が、コロナ不況による事業所閉鎖を理由に解雇されたそうだ。

「経歴が派遣だと、次に正社員になるのは不可能に近く、場当たり的な仕事に就くしかない。継続的な現金給付がなされると、余裕をもって職探しができる」

●約25万人が学費免除・減額の新制度利用していない

氷河期ネット代表で映画監督の増山麗奈さんは、「政府の貧困支援策は十分ではなく、現金給付を今こそすべき」と訴え、「今なんとかしないと、このままでは、二代目の就職氷河期世代が生まれようとしている」と警鐘を鳴らした。

現金給付とあわせて求めるのが、学生の学費無償化だ。コロナ禍で学生が困窮しているとして、特に負担の多い高校・大学などの学費無償を主張した。

一方で、昨年からスタートした「高等教育の修学支援新制度」の周知が不十分であり、本来必要な学生や世帯に情報が届けられていないとする。

これは、世帯収入が一定金額以下(住民税非課税世帯・準ずる世帯)の学生であれば、「授業料・入学金の免除または減額」と「給付型奨学金の支給」が受けられる制度だ。

日本学生支援機構の進学資金シミュレーターを使えば、自身や子どもが支給対象であるかおおまかに調べることができる。

「文科省の担当者に確認すると、対象者は五十数万人いるが、制度を活用されているかたは25.7万人だということです。低所得者の進学率が4割に過ぎないことから、進学を自主的にえらばなかったかたもいると思うが、対象なのに、制度を知らないかたもいると思う」

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