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「あるべき女」論を説く上司 「自分で弁当作れ」「結婚しろ」職場はセクハラの嵐だった
写真はイメージです(mits / PIXTA)

「あるべき女」論を説く上司 「自分で弁当作れ」「結婚しろ」職場はセクハラの嵐だった

地元では大手の自動車ディーラー。フタを開けると、「セクハラ」が蔓延する職場だった…。

自動車ディーラーで営業をしていたという女性が、弁護士ドットコムに過去のセクハラ被害を寄せました。

女性が職場で言われた数々の衝撃の言葉。法的には問題ないのか、考えていきます。

●「女なら自分で弁当を作ってこい」

職場は男性ばかりで、営業職は容赦なくノルマ達成を求められました。ですが、女性は環境にめげず、「ここを耐えて慣れていけば、楽になる」と信じて働き続けていました。

ですが、女性は職場に慣れる前に退職をすることになります。きっかけは、本社の重役や店長からの「セクハラ」でした。

「女なら自分で弁当を作ってこい」「仕事をするのもいいが、女なら早く彼氏を作って結婚しろ」「コーヒーぐらい上手く淹れろ」...。

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時にはひそひそ声で、時には他の社員にも聞こえるような大声で、再三にわたり、「女ならこうあるべき」という言葉をぶつけられたそうです。

店長から営業のノウハウを教わった時は、顧客と営業職の関係を「顧客=彼氏=店長」、「営業職=彼女=私(女性)」と例えられた上で、「彼女とラブホテル行こうと思ったら、たくさんおごったり、貢いだりする」と言われる始末。

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女性は「ラブホテルという単語が出ただけでも嫌でしたが、その男女が店長と私という前提だったため、本当に気持ち悪かったです」と振り返ります。

●誰にも打ち明けられず

そういった発言は日常的に続きましたが、誰かに相談しようにも「セクハラをされている」と言うことに抵抗があり、打ち明けられませんでした。

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その後、女性はどんどん仕事に行くのが嫌になり、ついには医者も原因不明とする謎の高熱を出し、自力で歩けない状態に陥ってしまいました。熱が下がり、出社した女性は、その日のうちに辞表を提出し、退職したそうです。

この女性のように、職場でセクハラを受けた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。養父知美弁護士に聞きました。

●店長や会社に慰謝料を請求できる可能性も。1人で悩まないで!

性的な言動によって社員に不快感を与える場合は、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)となります。

業務に関連して行われたセクハラ等が原因で退職に追い込まれた場合、そのような発言をした社員だけではなく、会社に対しても、退職による経済的損失や慰謝料を請求することができます。

問題は、セクハラ等が原因で、退職に追い込まれたと言えるかですが、立証はそう簡単ではありません。また、セクハラ等にあたることを「言った・言わない」が争いになることも多いです。

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スマートフォンなどで発言を録音できればいいのですが、それができなくても、セクハラ等の内容や、身体的・精神的な不調を具体的に記録しておく、医者にかかっておく(診断書やカルテが証拠になる)、セクハラ等の発言をする社員本人や会社に対してメールなどで抗議しておく、友人などに相談しておく(メールの文面などが証拠になる)とよいでしょう。

セクハラ等で悩んだ場合は、1人で抱え込まず、誰かに話すだけでも、気持ちが楽になったり頭が整理できたりします。相談できる人が周りにいなければ、弁護士に相談をしていただければと思います。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

養父 知美
養父 知美(ようふ ともみ)弁護士 とも法律事務所
堺市男女共同参画推進審議会委員長、大阪府地域福祉推進審議会委員、大阪市会情報公開審査委員会委員、認定特定非営利活動法人ウィメンズアクションネットワーク理事、立命館大学・立命館付属校ハラスメント防止委員会専門委員 など

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