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2020年11月02日 10時00分

0歳児の父「本当にオレの子?」離婚を要求する妻に抱いた不信感 DNA鑑定を決意

0歳児の父「本当にオレの子?」離婚を要求する妻に抱いた不信感 DNA鑑定を決意
画像はイメージです(polkadot / PIXTA)

「子どもが実の子なのか疑わしいです」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者は妻に「離婚してほしい」と言われ、別居している。子ども(生後1年未満)は妻と生活しているそうだ。しかし、妻が離婚したい理由が釈然としないため、相談者は不信感を抱くようになり、子どもが実の子ではないかもしれないと考えるようになった。

そこで、相談者はDNA鑑定を条件に、離婚に応じることを検討している。

生まれた子どもが実の子か否かを確かめるためには、どうすればよいのだろうか。溝延祐樹弁護士に聞いた。

●「なんのためにDNA鑑定をおこなうのか?」を意識して

ーー相談者はDNA鑑定を望んでいます。どのようなことに気をつけるべきでしょうか。

今回のケースでは「なんのためにDNA鑑定をおこなうのか」ということを意識しておく必要があります。

今回対象となっている子どもについては、相談者が婚姻中に出生していることから、相談者夫婦の子であるという推定が働いていると思われます。

これを「嫡出推定」といいます(民法772条。なお、婚姻後200日以内の出生の場合にはこの推定ははたらきませんが、今回のケースは「推定がはたらく」という前提でお話をします)。

嫡出推定がはたらく場合、夫側が子との間の法律上の親子関係を否定するためには、子が出生したことを知ってから1年以内に「嫡出否認の訴え」という訴訟を提起する必要があります。

この手続で夫子間の生物的な親子関係が否定されれば、法律上も親子ではないと扱われることになるため、DNA鑑定の結果は非常に重要な資料となります。

●訴訟の前に「嫡出否認」の調停を

ーー実際に、どのように手続きを進めればよいのでしょうか。

実際の手続としては、いきなり「嫡出否認の訴え」を提起するのではなく、その前段階として嫡出否認の調停を申し立てる必要があるとされています。

調停の場では、父親側において親子関係を疑うこととなった経緯・理由が確認され、併せて裁判所側から夫婦双方にDNA鑑定に協力するよう働きかけがおこなわれます。

これに妻側が応じた場合、裁判所は外部の専門業者に依頼する形でDNA鑑定を実施します。鑑定費用は裁判所ごとに異なるでしょうが、私の知る限り、おおむね10万円前後が目安となっているように感じられます。

DNA鑑定の結果、夫と子の生物的な親子関係が存在しないと判明した場合、裁判所は審判という形で両名の法律上の親子関係の不存在を明らかにします。

ーー相談者は妻がDNA鑑定を拒否するのではないかと心配しているようです。もし、妻が拒否した場合はどうなるのでしょうか。

もし、そのようなことがあった場合、妻の態度は夫子間の生物的な親子関係の不存在を推測させる一事情として扱われることになるでしょう。  

●生物的に親子でなくても「親子」になる?

ーーところで、「生物的な親子関係」と「法律上の親子関係」にはどのような違いがあるのでしょうか。

実は生物的な親子関係が否定されても、法律上は親子だと扱われる場合があります。

それは、嫡出推定がはたらく場合で、かつ、出訴期間以内に嫡出否認の訴え(調停)を提起しなかった場合です(例えば結婚3年目に子どもが生まれ、そのままさらに3年が経った場合など)。

この場合、夫側はもはや嫡出否認の訴えを提起できません。その結果として、夫子は生物的な親子関係の有無に関係なく、法律上は親子だと扱われます。

なお、この場合でも「親子関係不存在確認の訴え」によって子との親子関係を争うことが可能な場合もあります。

ただし、この訴えが認められるためには、夫婦間での性交渉などがおよそ起こりえないという状況(たとえば、子の妊娠・出産当時に夫が刑務所に収監されていた、あるいは海外に単身赴任しており日本に帰国していなかったなどの状況)が必要となります。

そのような状況が存在しない場合には、たとえDNA鑑定で夫子間の生物的な親子関係が否定されたとしても、法律上は親子として扱われます(最高裁第一小法廷判決平成26年7月17日参照)。そのため、この場合にはDNA鑑定を実施する法的な意味はありません。

●DNA鑑定実施に向けて「できるだけ速やかに調停を」

ーー相談者は今後、DNA鑑定に向けてどのように対応を進めていくべきでしょうか。

今回のケースでは対象となる子どもの年齢が0歳ということなので、相談者との血縁を疑う事情があるのであれば、できるだけ速やかに嫡出否認の調停を申し立てるべきです。

そして、その手続の中で裁判所に対して親子関係を疑う理由や経緯を説明し、DNA鑑定の実施を求めていくべきだと考えられます。

ただ、ご本人だけでは裁判所への十分な事情説明をできないことも考えられますし、そもそも本当に嫡出推定がはたらいているのかも確認しておく必要もあります。そのため、手続をおこなうにあたっては、事前に弁護士によく相談し、場合によっては手続の代理を依頼することをお勧めいたします。

取材協力弁護士

溝延 祐樹弁護士
鹿児島県弁護士会所属。1983年生。離婚問題・労働問題・交通事故問題をはじめとして支部管内において様々な種類の事件を取り扱う。その中でも労働問題については強い関心をもっており、労災・解雇・残業代問題などを中心に精力的に取り組んでいる。

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