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2020年05月04日 09時03分

派遣社員の「休業手当」はどうなる? 仕事が休みに、補償の打ち切りも告げられ

派遣社員の「休業手当」はどうなる? 仕事が休みに、補償の打ち切りも告げられ
画像はイメージです(cba / PIXTA)

緊急事態宣言を受けて、休業する事業者が広がっています。弁護士ドットコムニュースのLINEには、派遣社員から「補償がどうなるか不安」というメッセージが複数寄せられました。

●「5月は補償しない」、「失業保険の手続きを」

家電量販店でメーカー派遣販売員をしている女性は、4月中旬からお店が全店休業になりました。しかし、派遣会社からの連絡は「4月分は給料の6割補償をするが、5月は補償しない」。女性は今年事故にあったため労災申請中だといい、「先が見えない」と不安を抱えています。

群馬県太田市の50代男性は、自動車部品の製造会社で働く登録型の派遣社員です。仕事が減ってきており、ゴールデンウィーク前から休みになる予定です。派遣会社からは「企業が契約解除したら、失業保険の手続きをしてください」と言われました。

派遣先が休業した場合、派遣社員の休業手当はどうなるのでしょうか。岩井羊一弁護士に聞きました。

●派遣先のお店が休止したら?

ーーメーカー派遣販売員の女性は、派遣先のお店が休業になりました

都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示などを受け、派遣先が事業を休止した場合も、法律的には、緊急事態宣言を受けて休業するのは派遣先の使用者の判断によるものということになります。

さらに、派遣先のお店が休止になって派遣労働者を派遣先で就労させることができなくなったからといって、それだけでは派遣元は賃金を支払わなくてよいということにはなりません

その労働者を外の事業所に派遣する可能性などもあるわけですから、100%の賃金を支払うように要求するべきでしょう。

派遣先のお店が休止になって、さらに派遣元が派遣先を確保できない事情があると認められた場合にも、派遣元に60%の休業手当(労働基準法26条)の支払を求めることができます。

また、5月は補償しないというのは不当です。支払を求めてみましょう。

●契約解除されたら失業?

ーー自動車部品の派遣社員は、派遣元から失業保険の手続きをすすめられたそうです

派遣先と派遣元の契約が解除されたからといって、派遣元が派遣労働者を解雇することはできません

登録型の派遣社員ということは、派遣先の就業期間に限って労働者派遣がなされているものと考えられます。有期派遣労働契約の場合、「やむを得ない事由」がなければ、契約期間の途中で解雇することはできません(労働契約法17条1項)。

この「やむを得ない事由」は、通常の解雇(労働契約法16条)よりも厳しい要件だとされています。

また、この「やむを得ない事由」は、派遣元を基準に考えるので、企業が派遣契約を解除したことだけの理由で、契約期間途中の解雇は認められません。派遣元に解雇しないように求めましょう。

●派遣元に休業手当の支払義務がある

ーー休業手当の支払義務は、派遣先と派遣元どちらにありますか

労働契約を締結しているのは派遣元ですから、派遣元に休業手当の支払義務があります。この点は登録型、常用型であっても変わりません。

ーー派遣元が派遣先に費用を請求することになるのでしょうか

厚生労働省のQ&Aでは、労働者派遣契約の内容を変更する場合の金銭補償について、「労働者派遣契約上の規定に基づき、派遣元と派遣先でよく話し合い、対応してください」とあります。

派遣先が業務を縮小し、派遣労働者の労働時間を短縮したい場合にも、労働者派遣契約がそのままの場合には、派遣先は派遣元にそれまでと同様の派遣料を支払わなければなりません。

しかし、派遣先は業務を縮小しなければ派遣料の支払いが困難となります。そのため、最悪契約を解除しなければならないことになります。

派遣元も解除されるよりは、派遣料減額の交渉に応じて派遣料を支払ってもらったほうが、今後の契約の継続など、総合的にみて派遣元にも有利な点がある場合もあります。

そのため、派遣契約を双方が検討して条件を変更することが考えられます。このようなことをさして「民事上の契約関係の話ですので」よく話し合ってくださいとのコメントがあります。

ーーいずれにせよ、派遣社員も休業手当が支払われる権利があるということですね

はい。なお、派遣先は、自らの都合により労働者派遣契約を解除する場合には、新たな就業の機会を確保したり、休業手当などの費用を負担したりといった措置を講じなければなりません(労働者派遣法29条の2)。

緊急事態宣言下で、都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて派遣先において事業を休止したことに伴い、労働者派遣契約を中途解除する場合も、法律的には自らの都合により労働者派遣契約を解除する場合にあたるため、こうした措置を講ずる義務があると考えられます。

取材協力弁護士

岩井 羊一弁護士
過労死弁護団全国連絡会議幹事、日弁連刑事弁護センター副委員長 愛知県弁護士会刑事弁護委員会 副委員長

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