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出張中ついでに観光、不倫…「半休」とって、どこまで羽を伸ばせるの?
画像はイメージです(kotoru / PIXTA)

出張中ついでに観光、不倫…「半休」とって、どこまで羽を伸ばせるの?

家族の目が届かない出張中に、羽を伸ばしたい気持ちはわからないでもない。しかし、半休(時間休)をとって観光や不倫をすることに問題はないのだろうか。

2019年12月には、首相補佐官と厚生労働省大臣官房審議官との不倫疑いを「週刊文春」(12月19日号)が報じた。公用での出張中、午前に公用をすませ、午後は観光を楽しんだり、腕をからめて歩いたりしている様子も写真付きで掲載。

同誌の取材に対し、首相補佐官は「(女性は)午後は休暇を取っているから。僕は休暇ではなく、出張です。僕の場合は特別職なので、勤務時間がない」と答えていた。

このケースで当事者は公務員だったが、民間の会社員の場合、出張中でも半休をとれば、このような私的な行為も問題ないのだろうか。また怪我や病気になった場合、労災の対象となるのか。今西眞弁護士に聞いた。

●「業務時間外でも労災となる」

従業員の求めに応じて、会社が認めれば、出張中にも半休など「時間休」を取得することは可能なのか。

「労働基準法の改正(2010年4月1日施行)により、労使協定を締結することにより、年次有給休暇を、5日の範囲内で時間を単位とし与えることができるものとされ、労使協定がない場合でも、使用者が同意すれば、日単位取得の阻害とならない範囲であれば取得可能です。これは出張中であっても異なりません」

出張中に半休を取得したり、私用をしたりした時間帯に、交通事故や病気で倒れたような場合、労災は認められるのか。

「目的地へ赴いてから戻るまでの一連の過程を含む業務として、一般的には出張過程全般に業務遂行性が認められ、業務時間外であっても出張に当然又は通常伴う範囲内(例えば、食事、移動など)の負傷や疾病であれば労災となると考えられます。

半休中の行動は、出張に当然又は通常伴う範囲に該当することは考えにくく、基本的には労災は認められないといえますが、出張業務と関連する場合もあるので半休中だからと形式的に考えるべきではないでしょう」

●不倫で「懲戒処分」となる可能性は?

今回のように、出張中の私的な時間帯の不倫を理由に、懲戒処分を受けることはあり得るのか。

「単に不倫をしたというだけでは懲戒処分することは難しいでしょう。ただし、不倫をしたことにより、会社の業務に支障をきたす結果をもたらした場合や、会社の社会的評価を下げてしまった場合等には、懲戒処分をすることが可能な場合があります」  

出張中の自由な時間の使い方について、会社員が気をつけるべき点は他にもあるのだろうか。

「出張をすると、長時間の空き時間など業務から解放される時間も多く、私的な時間をもつことが多くあると思います。

私も県外の裁判所に赴いたときは、時間を見つけて街を散策するようにしています。それも遠くの裁判所に出廷する楽しみの一つであり、モチベーションにつながっていると思います。

ただ、業務と全く関連のない私的行為と評価されると、労災補償などの保護が受けられなくなる可能性がありますので、羽目の外しすぎや、事故にはくれぐれも気をつけて下さい」

プロフィール

今西 眞
今西 眞(いまにし まこと)弁護士 弁護士法人ALG&Associates福岡支部
弁護士法人ALG&Associates福岡支部長。企業法務では、労務を中心に活動しています。弊社は、医療過誤、交通事故、離婚、相続、刑事など幅広い専門性を追求し、総合病院型の法律事務所を目指しています。 (交通事故サイト)https://www.hughesluce.com/ (離婚サイト)https://www.dun-laoghaire.com/

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