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「温野菜」加盟社とバイトの主張に「食い違い」――「暴言」音声は店長のものと確認
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「温野菜」加盟社とバイトの主張に「食い違い」――「暴言」音声は店長のものと確認

飲食店チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」でアルバイトとして働いていた大学生と労働組合「ブラックバイトユニオン」が、店舗運営会社などに団体交渉を申し入れていることに関して、フランチャイズ本部「レインズインターナショナル」(横浜市)は9月18日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「大学生側と店舗運営会社の主張に食い違いがある」と明かした。

●主張が食い違っている点とは?

ブラックバイトユニオンによると、大学生は首都圏の「しゃぶしゃぶ温野菜」に勤務していたが、人手不足のために1日12時間労働するようになり、今年4月中旬から8月中旬までの4カ月間は1日も休みがない状態だった。ところが、半分ほどしか給料が支払われず、実質「最低賃金」を割っていたという。男性が辞めたいと申し出ると、店長から「殺してやっから」と暴言を受けたり、数千万円の損害賠償を示唆されるなどしたと主張している。

しかし、レインズ社によると、店舗運営会社は、(1)4カ月間の連続勤務や12時間勤務を強いていない、(2)最低賃金を割っている事実はない、(3)数千万円の損害賠償を求めた事実はない、などと説明しているという。

一方で、ユニオン側がネットで公開している「殺してやっから」などといった暴言の音声データについては、レインズ社の広報担当者が「前後のやり取りはあるが、店長本人の声であると確認した」と認めた。

●レインズ社「当社は労働交渉に応じる義務はない」

レインズ社も団体交渉に応じるよう求められていることについて、広報担当者は「労働契約はあくまで、店舗運営会社と大学生との間で結ばれている。団体交渉は、労使間でおこなわれるもので、当社には具体的な解決方法を決定する権限も、法的な義務もない。店舗運営会社には、団体交渉に応じるよう要請している」と話した。

今回の問題を受けて、レインズ社は現在、「中立公正な第三者的な弁護士に調査を依頼している」という。9月中をめどに報告書にまとめる予定だ。またスタッフからの相談窓口のホットラインを設けるなど、「より安心して働ける環境づくり」を推進していくという。

●ユニオン「道義的な責任から団体交渉に応じるべき」

ブラックバイトユニオンは9月10日に団体交渉の申し入れをおこなったが、店舗運営会社は30日を期限として回答を保留していた。9月18日になって、店舗運営会社から「(今月中に)団体交渉に応じる方向で調整する」という連絡があったという。

同ユニオンは、フランチャイズ本部であるレインズ社に対しても、引き続き団体交渉に応じるよう求めていくという。その理由について、同ユニオンの青木耕太郎氏は「レインズ社は法的な義務がないかもしれないが、フランチャイズを指導する立場でありながら、それがきちんとできていなかったことが背景にある。道義的な責任から団体交渉に応じるべきだ」と語った。

また、レインズ社が「中立公正な第三者的な弁護士に調査を依頼している」と説明していることについては、「現在のところ、(弁護士から)調査の接触はない。そもそも、利害関係のあるレインズ社が『第三者』を指定しても無理がある。調査の仕方も含めて、きちんと協議をおこなうべきだ」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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