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30年だれも住まない「空き家」をもつ両親…どのように手放せる?【小町の法律相談】

「両親の持つ古い空き家に頭を悩ましています」と、Yomiuri Onlineの「発言小町」に相談が寄せられました。トピ主は、一人っ子。問題の家は「築50年程で、30年前から空き家です」といい、売却の可能性がほぼ皆無だそうです。
 
トピ主が心配するのは、今後、「壁などが崩れたりしてご近所に迷惑がかかる、といった場合は私も知らない顔はできないので、補修工事はしなくては、と思うのですが」ということ。そこで、「相続を簡単に放棄できるものなら、(あとの面倒は国?自治体?がみてくれるなら)こんなに有り難い話はないと思います。こんな都合のいいこと実際可能なのでしょうか?」と質問しました。
 
レスには、「同じく困ってます」と、自分の経験をまじえて同様の悩みを投稿する方々も目立ちました。また、放火などで「他人の財産を棄損したり怪我をさせたとなると責任を負うことになります。相続前後にかかわらず早急に対処される方が良いと思います」として、解決を促す人もいました。
 
トピ主はどんな対応ができるのでしょうか? 加藤尚憲弁護士に詳細な解説をしていただきました。
 
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「困った空き家について」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2015/0714/721495.htm?g=15
 
 

A. 「ご両親が健在なうちは、手放すことは困難」

相談者さんは空き家を手放すことを望まれているようですね。
 
残念ながら、ご両親が健在なうちは、空き家を手放すことは大変困難です。国や自治体が不要な不動産を引き取ってくれる可能性はほとんどありません。理由の1つとして、自治体にとっては、不動産を引き取ると固定資産税の減収につながることが挙げられます。
 
このように、ご両親が健在なうちは、空き家を持ち続けることを前提に考えざるを得ません。
 
もっとも、空き家は、どうしても管理が疎かになりがちです。修理が必要な家を放置した結果、壁が崩れたり、屋根瓦が飛んだりして、人に怪我をさせたり、隣家を傷つけた場合、危険工作物の占有者ないし所有者として損害賠償責任を負うことがあります(民法717条1項)。
 
賠償責任を免れるためには、空き家を取り壊すか、管理をきちんとする以外の方法はありません。
 

「相続が空き家を手放す機会」

ところで、ご両親が亡くなった時点では、相続放棄によって空き家を手放す機会があります。ただし、これから述べる通りいくつかの注意点があります。
 
1つ目は、相続人全員が、法律の定める期間内(自分が相続人になったことを知った時から3か月以内)に裁判所に相続放棄の申立をする必要があることです。  
法定相続人が相続放棄をすると、次順位の人が繰り上がるため、相談者やその兄弟姉妹だけでなく、ご両親の兄弟姉妹(兄弟姉妹のうち亡くなった方がいる場合は、亡くなった方の子)も相続放棄をする必要があります。
 

2つ目は、費用がかかることです。

空き家の管理責任を免れるためには、相続放棄の後に、裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てる必要があります。裁判所に申立を行うと、裁判所から手続費用の予納を求められます。予納金の額は数十万~100万円程度が一般的です。簡単に捻出できる金額ではありませんが、空き家を取り壊す費用に比べれば小さいともいえます。
 
3つ目は、相続放棄の際には、すべての相続財産をまとめて放棄する必要があり、欲しくない財産だけ放棄することはできないということです。
 
ご両親の財産の中に放棄したくない財産がある場合は、ご両親から生前贈与を受けておくか、ご両親の遺言書に基づいて遺贈を受けるか、いずれかの対策が必要です。いずれの対策もご両親が健在なうちにしかできないため、計画的に取り組む必要があります。なお、贈与や遺贈を受ける場合、贈与税や相続税の負担についての検討も欠かせません。
 

「予め専門家への相談を」

今後は、空き家が増えていくことが予想されており、相続対策が必要な場合も多いと思います。相続放棄を予定する場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。
 
 
 

取材協力弁護士 加藤 尚憲 (かとう なおのり)弁護士
東京大学卒、弁護士・ニューヨーク州弁護士 弁護士ドットコム上で半年間に約500件の相続の質問に回答し、ベストアンサー率1位を獲得。「首都圏版 2016年▶2017年 みんなの弁護士207人」(南々社出版)相続部門 掲載 事務所はJR中央線・丸ノ内線荻窪駅北口から徒歩2分 相続総合情報サイト「わかる相続」:http://わかる相続.com/ 「わかる相続」公式ブログ:http://wakarusouzoku.blogspot.jp/
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