遺留分

弁護士監修記事 2018年01月30日

1人の相続人に財産を独占させたくない…「遺留分」を請求する方法

全ての財産を1人の相続人に相続させるという内容の遺言書が見つかった場合、他の相続人は一切財産を相続できないのでしょうか。こうした疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 「後妻に全ての財産を相続させる」と遺言書に書かれていたら…
  2. 「遺留分減殺請求」はどうやって行えばよいのか
  3. 遺留分減殺請求の通知を受取り拒否されたら?
  4. まとめ

「後妻に全ての財産を相続させる」と遺言書に書かれていたら…

alt 遺言書に、1人の相続人に「全ての財産を相続させる」と書かれていた場合、他の相続人は財産を一切相続できないのでしょうか。

遺言書で全てを後妻に譲るとあり、同じ敷地内の離れに住む長男の私に立ち退き要求してきました。


相談者の疑問
先月、父が亡くなり遺言書を初めて見せられました。遺言によりますと、後妻さんに土地建物すべてを譲るとあります。

父は生前、家の建替えや土地の買増しの資金を後妻さんに出してもらっていたらしく、そのこともあり全ての相続を後妻さんにしたようです。

私は3年前、自己破産をして、再起のため家賃を抑えたく、実家の離れに転がり込んでいましたが、そんな事情で、出て行くように言われています。

遺言には、私が実家を使用したい場合は、後妻さんの許可を得ることと書かれていますが、後妻さんは、今後相続税などの支払いその他を工面するには、土地を切り売りしなければと、私の居る離れを売却するので立ち退いてくれと言っています。

遺言書に書かれていることに不服があれば申立てができると聞きましたが、私が実家を追い出されずに済む方法があれば教えて下さい。

ちなみに、私は長男で弟夫婦が別棟の離れに住んでおり、これも初めて知ったのですが弟は、後妻さんと養子縁組をしたそうで、弟夫婦は、しっかり追い出されないように手を打っていたようです。

姉がおりますが、姉は嫁いでおります。姉もその遺言書には憤慨しております。


鈴木 崇裕弁護士
亡くなられたお父様の相続人は
・妻(後妻さん)
・長男(あなた)
・次男
・長女
ということで間違いないでしょうか。

あなたには、遺言の内容にかかわらず、「遺留分」という権利が認められています。

相続人が上記のとおりであれば、あなたはお父様の財産の12分の1の権利を取得できます(遺言に「すべてを妻に」と書いてあっても、取得できます)。お姉さま(長女)についても同様です。

あなたとしては、後妻さんに対して遺留分を主張して、いま居住されている離れの権利を取得するなどの方法が考えられます。

具体的には弁護士に相談のうえ、遺留分減殺請求(相続があったことを知ったときから1年以内にしなければなりませんのでご注意ください)をし、後妻さんが応じてくれなければ調停や訴訟に移行する方法が考えられます。

遺言書の内容に関わらず、一定の範囲の相続人には「遺留分」という権利が認められているようです。 上記のケースのように、後妻に全ての財産を相続させるとの遺言書があっても、遺留分減殺請求という手続きを行うことで、遺言書で指定された相続人に対して、一定分の財産を渡すよう求めることができるようです。

「遺留分減殺請求」はどうやって行えばよいのか

alt 遺留分減殺請求とはどのような手続きなのでしょうか。

長男に遺産全てを相続させるという遺書がでてきました


相談者の疑問
先日、介護していた祖母が亡くなりました。

祖母とは私の母(次女)と私の3人で暮らしており、祖母の介護は私の母・私・近所に住んでいる叔母(三女)とで行っておりました。

しかし、公正証書遺言という物を預かっていると、遠くに住んでいる長男が言い出し、その書面には「長男に土地・建物・財産の全てを相続させる」と明記されていました。

この遺言公正証書は祖母が介護を必要とする前に作成されたもので、要介護者となってからは長男は数回しか祖母に会いに来ていません。

また、最近は「遺書を書き直さないと」という発言を祖母がしておりました(ただし、証拠になる物はありません)。

伯母(長女)母(次女)叔母(三女)は公正証書遺言の通り、遺産を一切相続できないのでしょうか。完全4分割にしてほしいというわけではなく、本来相続できるであろう分を相続したいと母姉妹は考えています。

遺留分減殺請求権というものを教えてもらったのですが、こちらの権利を行使するには、どういった手順を取ればよいのでしょうか。


高島 惇弁護士
まず、公正証書遺言を直接確認すべきかと存じます。

遠くに住んでいる長男が公正証書遺言を預かっており、その内容が一切の財産を長男に相続させる旨記載されているというのは、経験則として若干違和感を覚えます。

そして、仮にそのような公正証書遺言が実際に存在する場合、長男に対して、遺留分減殺請求をして下さい。

請求の方法ですが、長男に対して遺留分減殺請求を行う旨、各相続人の名義で通知すれば足ります(後の訴訟に備えて、内容証明郵便で通知すべきです)。

なお、請求の段階では、遺留分減殺請求を行使する意思を伝えれば足り、具体的な遺留分を計算する必要はありません。

請求権の行使は、相続開始から1年以内に行う必要がありますので、公正証書遺言の存在を確認の上、お早めに通知をご検討下さい。

遺留分減殺請求を行うには、遺言書で指定された相続人に対して、遺留分を求めたい相続人の名義で内容証明郵便などを送ればよいようです。遺留分が具体的にいくらになるかの計算をする必要はなさそうです。 遺留分減殺請求は、相続の手続きが始まってから1年以内に行わなければならないことに注意しましょう。

遺留分減殺請求の通知を受取り拒否されたら?

alt 遺留分減殺請求の内容証明郵便を送っても、相手が受け取らない場合はどうすればよいのでしょうか。

遺留分減殺請求について


相談者の疑問
遺留分減殺請求の内容証明郵便が戻ってきました。どうすればいいのでしょうか。


北山 祐記弁護士
住所が違うのか、相手がわざと受け取らないのか、などの理由の調査を行い、相手が受け取らない場合は、直ちに遺産分割調停などを起こしてその中で減殺請求を直接伝えます。1年という期間を意識しながら計画しないと、遺留分減殺が難しくなります。

受取り拒否あるいは受取り懈怠(けたい)のいずれであっても、遺留分減殺の意思表示が相手方に到達したとはいえません。ぎりぎりのタイミングでは、このような方法を利用して遺留分減殺請求を逃げ切られる可能性もあるのです。

あらゆる手段を講じて「被相続人の遺言の存在を知った日から1年以内」に相手に伝えて、それを証明しないといけません。内容証明を出しただけで、安心してはいけません(意思表示の到達が必要)。

相手に通知の受取りを拒否された場合、家庭裁判所に遺産分割調停を起こして、調停の中で遺留分減殺請求を行うことになるようです。

まとめ

1人の相続人に「全ての財産を相続させる」と書かれた遺言書が見つかっても、遺留分が認められた相続人であれば、遺留分減殺請求を行うことで、遺言で指定された相続人に、財産の一定分を渡すように求めることができるようです。 遺留分減殺請求は、相続の手続きが始まってから1年以内に行わなければならないため、できるだけ早く手続きを進めるとよいでしょう。

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