【計算と割合がわかる】遺留分侵害額(減殺)請求権とは?遺留分の請求の流れや放棄、時効についても解説

遺言書を確認すると、遺産について自分の取り分が少なかった(またはゼロだった)ーー。このような場合、「遺留分」という最低限の取り分を他の相続人などに主張して、遺産の取り分を増やせる可能性があります。この記事では、遺留分が認められる相続人、遺留分の計算方法、遺留分を請求する方法(遺留分侵害額請求)について解説します。

目次

  1. 遺留分侵害額(減殺)請求権とは?
    1. 遺留分を請求する権利があるのは?子供や兄弟、孫に遺留分は認められる?
    2. 遺留分の割合と計算方法は?法定相続分との関係を解説
    3. 法改正でどう変わった?
  2. 遺留分侵害額(減殺)請求の方法と時効
    1. 遺留分侵害額(減殺)請求には時効がある
    2. 遺留分侵害額(減殺)請求に応じてもらえない場合、調停を申し立てる
  3. 遺留分を放棄する方法
    1. 被相続人の生前に遺留分を放棄するための手続き
  4. 生前贈与がある場合の遺留分の計算方法
  5. 遺留分侵害額(減殺)請求を弁護士に依頼する場合の費用相場
    1. 弁護士に依頼するメリット
  6. まとめ
  7. 次はこの記事をチェックしましょう

遺留分侵害額(減殺)請求権とは?

遺留分とは、遺言書での処分に制限が加えられている遺産の割合のことです。相続人から見れば、法律で認められた最低限の取り分ということになります。 たとえば、「遺産はすべて長男に相続させる」という遺言書がある場合、遺言書のとおりに遺産を分けると、長男以外の法定相続人は遺産の取り分が0になります。この状態を「遺留分が侵害されている」といいます。 遺留分が侵害されている相続人は、遺留分を主張して、遺留分の範囲で長男に遺産を分けるよう求めることができます。

遺留分を主張して遺産を分けてもらった場合には、その分の相続税を支払うことになる可能性があります。

遺留分を請求する権利があるのは?子供や兄弟、孫に遺留分は認められる?

遺留分を求める権利があるのは、兄弟姉妹をのぞく法定相続人、つまり、「被相続人の配偶者」「子」「父母」です。 被相続人の子がすでに亡くなっていて、子ども(被相続人の孫)がいた場合、孫が相続する権利を有します。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。代襲相続した孫も、遺留分を求める権利も引き継ぎます。 「相続放棄」の手続きをした人、「相続欠格」や「廃除」にあたる相続人には、遺留分を求める権利はありません。 「相続欠格」とは、被相続人を殺害したり、詐欺や脅しによって遺言を書かせたりするといった不正行為をした相続人が、相続する権利を失うことです。「廃除」とは、被相続人の意思で、相続する権利を奪われた人のことです。

被相続人の子が相続放棄をした場合、その子(被相続人の孫)も遺留分はありません。子が「相続欠格」あるいは「廃除」に該当する場合、孫は遺留分を有します。

遺留分の割合と計算方法は?法定相続分との関係を解説

それぞれの相続人が請求できる遺留分の割合は、「配偶者と子」「配偶者と親」など、相続人のパターンで変わってきます。法律で定めた相続の割合である「法定相続分」と比較してみてみましょう。 ざっくり見ると、法定相続分のだいたい半分が遺留分として認められることがわかると思います。ただし、兄弟姉妹には法定相続分は認められますが、遺留分はありません。

法定相続人 法定相続分 遺留分
配偶者のみ 配偶者が100% 1/2
配偶者と子 配偶者1/2、子1/2
※子(孫)が複数いるときは1/2を均等に分ける
配偶者1/4、子1/4
配偶者と父母 配偶者2/3、父母1/3 配偶者1/3、父母1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、父母1/4
※兄弟姉妹が複数いるときは1/4を均等に分ける
配偶者1/2、兄弟姉妹なし
子のみ 子が100%
※子どもが複数いるときは均等に分ける
1/2
父母のみ 父母が100% 1/3
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹で均等に分ける なし

遺留分を求める権利がある相続人は、自分の取り分が遺留分より少ない場合、遺留分を侵害した人(遺産を受け継いだ人)に対して、その侵害された分を請求することができます。 たとえば、夫・妻・長男・次男という家族で、夫が「長男に(全財産である)預金1000万円を与える」という遺言を残して死亡した場合、遺言にしたがえば、妻と次男には1円の取り分もありません。 このような場合に、妻と次男は長男に対して、それぞれの遺留分の250万円(1000万×1/4)と125万円(1000万×1/4×1/2)を請求できます。 このほかにも、本来遺産となるべきだった財産が生前贈与された場合には、被相続人の死亡から1年前までにした贈与について、遺留分を請求できる場合があります。

被相続人と贈与を受けた者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には、1年前までの贈与に限らず遺留分を請求できる場合があります。

法改正でどう変わった?

遺留分に関する民法の規定は、2018年に法改正がなされ、2019年7月1日に施行されました。 改正前は、侵害された遺留分を回復する権利は「遺留分減殺請求権」と呼ばれていました。遺留分減殺請求権が行使されると、遺留分を侵害する遺言などの効力が失われ、遺留分に相当する分の遺産(お金や土地など)の返還を請求することができました。 改正後は「遺留分侵害額請求権」と変更されました。遺留分侵害額請求権は、改正前と異なり、遺産そのものではなく、遺留分に相当する額の金銭の支払いを求める権利に変わりました。

遺留分侵害額(減殺)請求の方法と時効

遺留分が侵害されている場合、侵害されている遺留分に相当する金額の金銭の支払いを求めることができます。「遺留分侵害額請求」といいます。 遺留分侵害額請求をするには、遺言書や生前贈与などによって直接利益を得た人(遺産を多くもらった相続人や、遺贈を受ける人、贈与を受けた人など)に対して、遺留分侵害額請求をする旨を伝えます。 遺言執行者がいる場合には、遺言執行者にも伝えます。 遺留分侵害額請求は1年以内という制限があるため、いつ遺留分侵害額請求がなされたかが後から争いになることがあります。遺留分侵害額請求をしたという証拠を残したい場合には、内容証明郵便に、配達証明を付けて郵送するとよいでしょう。

遺留分侵害額(減殺)請求には時効がある

遺留分侵害額請求ができるのは、被相続人が亡くなったことと、減殺すべき贈与や遺贈があることを知ったときから1年以内です。 被相続人が亡くなったことや、減殺すべき贈与や遺贈があることを知らなかったとしても、被相続人が亡くなった時から10年経つと、遺留分侵害額請求ができなくなります。

遺留分侵害額(減殺)請求に応じてもらえない場合、調停を申し立てる

遺留分侵害額請求に応じてもらえない場合は、家庭裁判所での調停、調停が不成立になった場合は、裁判で争うことになります。 調停は、遺留分を侵害した相手の住所を管轄する家庭裁判所、または当事者間で決めた家庭裁判所に申し立てます。費用として、1200円分の収入印紙と裁判所からの連絡用郵便切手が必要です。 調停で解決しない場合は、裁判で争うことになります。通常は地方裁判所に訴訟を起こしますが、請求する金額が140万円以下の場合は、簡易裁判所に提起します。

遺留分を放棄する方法

遺留分侵害額請求をするかどうかは、遺留分を侵害されている相続人が自由に決めることができます。必ず遺留分侵害額請求をしなければならないというわけではありません。 遺留分侵害額請求をしないと決めた場合、特別な手続きはいりません。

被相続人の生前に遺留分を放棄するための手続き

被相続人の生前に遺留分を放棄する場合には、家庭裁判所の許可を得ることが必要です。 家庭裁判所の許可を得る手続きは、遺留分を請求する権利がある相続人が、被相続人の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てます。800円分の収入印紙と、裁判所からの連絡用郵便切手が必要です。 相続人となる人のうち1人が遺留分を放棄したとしても、他の相続人の遺留分に影響はありません。

生前贈与がある場合の遺留分の計算方法

生前贈与とは、被相続人が生前に財産を贈与することです。 本来遺産となるべきだった財産が生前贈与された場合には、被相続人の死亡から1年前までにした贈与について、遺留分を請求できる場合があります。

被相続人と贈与を受けた者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には、1年前までの贈与に限らず遺留分を請求できる場合があります。

遺留分侵害額(減殺)請求を弁護士に依頼する場合の費用相場

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する場合の費用は、主に以下のような費目に分けられます。

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • タイムチャージ
  • 日当
  • その他の手続きの費用

これらの料金は、一律に決まっているものではありません。法律事務所や弁護士ごとに異なります。 具体的な料金は、法律事務所がホームページなどで紹介していることが多いので、依頼を検討する際は確認してみましょう。 相談したい法律相談所のホームページがない場合は、相談する前に電話などで問い合わせてみましょう。

弁護士に依頼するメリット

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • 遺留分侵害額があるかどうか、あるとすればどの程度あるのかの見通しを計算してもらえる
  • 遺留分侵害額請求するための書類の作成・郵送などをしてもらえる
  • 遺留分侵害額請求に応じてもらえない場合の交渉や調停などの手続きをしてもらえる

まずは法律相談をすると、有効な対処法をアドバイスしてもらえます。遺留分侵害請求に関する悩みがある場合には、弁護士への相談を検討しましょう。

まとめ

「相続財産の分け方について、相続人間で意見が対立している」「手続きを自分でする時間がない」など、相続に関する悩みを抱えている方は、弁護士への依頼を検討しましょう。 弁護士に依頼することで、他の相続人との交渉をはじめ、様々な手続きを代わりにおこなってもらうことができます。不動産などそのままでは分けられない財産や借金があるような場合も、個別のケースに応じた適切な対処法を示してもらいながら手続きを進めることができます。 相続案件に注力する弁護士のサポートを受けることで、自分一人で奮闘するよりも手間やストレスをかけずに、早急かつ円満に相続の手続きを完了できるでしょう。

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