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「相続人が100人超!?」実家を売却しようとしたら相続が大変なことに…全員調べないと売れないの?
写真はイメージです(mits / PIXTA)

「相続人が100人超!?」実家を売却しようとしたら相続が大変なことに…全員調べないと売れないの?

「相続人が100人超……?」

SNSで最近、実家を売ろうとしたところ、土地の名義が曽祖父のままだったことが判明し、代替わりを重ねた結果、相続人が100人を超えていた──という投稿が注目を集めました。

投稿によると、相続手続きがおこなわれないまま何世代も経過し、親族が全国各地に散らばっている状態だったといいます。実家を売却しようにも、多数の相続人との調整が必要になることがわかったそうです。

先祖代々の土地や実家を、祖父や曽祖父の名義のままにしている──。実は、こうした問題は決して他人事ではありません。

●相続人35人以上で「八方塞がり」

実は、弁護士ドットコムにも、よく似た相談が寄せられています。

相談者は、相続登記が義務化されたことをきっかけに、土地の名義を変更しようとしました。ところが、調べてみると親ではなく祖父の名義のままになっていることが判明。さらに遺産分割協議のため相続人を調査すると、その数は35人以上にのぼりました。

しかも、そのうち1人は海外に移住した後に亡くなっており、遺族がいることまではわかったものの、現在の住所を特定することができなかったといいます。

祖父が残した土地の価値は低く、相談者は「このまま遺産分割協議を諦め、放置しよう」とも考えました。

しかし、自身にも子どもや孫がいるほか、他の相続人にも子どもや孫が多数いるため、このままでは世代交代するたびに関係する人がさらに増えていくのではないかと心配しています。

「今回でなんとか遺産分割協議を終わらせたいのですが、八方塞がりな状況で困惑しております」(相談者)。相続手続きを長年放置した結果、相続人が数十人、さらには100人規模にまで増えてしまった場合、不動産を売却するには本当に全員の同意が必要なのでしょうか。

正込健一朗弁護士が解説します。

●まず相続人の確定が必要

相続人が100人を超える不動産でも、直ちに売却できなくなるわけではありません。ただし、亡くなった人の名義のまま遺産分割が終わっていない場合、通常は相続人全員の協力が必要ですので、労力、時間、費用がかかることは覚悟しなくてはなりません。

たとえば、曽祖父が単独名義で所有していた土地について、相続が何代にもわたって発生し、相続人が100人を超えているケースでは、まず戸籍を調べて現在の相続人を確定する必要があります。

出生から死亡までの戸籍を順番にたどり、相続人が亡くなっていれば、その相続人の子など、さらに次の相続人を調べます。住所がわからない場合は、戸籍の附票や住民票などを利用して所在を調査します。

古い戸籍は、保存期間の経過や災害などによって廃棄・滅失していることがあります。その場合でも、役所から「戸籍等を交付できない旨の証明書」などを取得し、残っている戸籍や他の資料と組み合わせて相続関係を確認できる場合があります。

相続人が海外に住んでいても、在外公館で署名証明を受けるなど、一定の手続により遺産分割協議をおこなうことができます。

外国籍者などの場合には、外国の公証人による証明等が必要になることもあります。このような例外対応が必要な場合には、戸籍調査の費用が予想以上に高額になることがあるので注意が必要です。

●居場所がわからない相続人がいたら?

戸籍を調べて、どうしても居場所がわからない相続人がいる場合でも、解決するための方法はあります。

たとえば、家庭裁判所に申し立てて、居場所がわからない人に代わって財産を管理する「不在者財産管理人」を選んでもらう制度があります(民法25条)。不在者財産管理人が本人に代わって遺産分割協議に参加する場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要です(民法28条)。 また、生死が7年間わからない場合には、失踪宣告(民法30条)を申し立てる方法もあります。失踪宣告を受けると、原則として死亡したものとみなされますので(同31条)、そのことを前提に相続関係を整理できるようになります。 一方、登記上すでに複数人の共有名義になっている不動産については、居場所がわからない共有者がいても、裁判所の手続を利用して、その人の持分を買い取る(民法262条の2)、または不動産を一括売却する(同262条の3)制度もあります。

ただし、遺産分割が終わっていない場合は注意が必要です。原則として、相続開始から10年間はこれらの制度を利用できません。10年を経過すると、遺産分割に代えて一般的な「共有物分割」の手続(民法258条の2第2項)や、これら居場所がわからない共有者の持分取得・譲渡制度を活用できる場合があります。

●相続登記は義務化、放置すれば過料も

なお、2024年4月1日から、相続登記が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが必要で、正当な理由なく怠れば、過料が科される可能性もあります。

そもそも、相続手続を放置すると、相続人がさらに亡くなって相続人の数が増え、戸籍・所在調査が一層困難になります。結果として、子や孫の世代に複雑な相続手続と費用負担を残すことになりかねません。

相続人が多い場合ほど、早めに専門家へ相談することが重要です。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

正込 健一朗
正込 健一朗(しょうごもり けんいちろう)弁護士 正込法律事務所
弁護士・社会保険労務士として、主に使用者側の労務問題に取り組んでいる。紛争案件だけでなく、セミナー・研修や社内規定整備・制度構築さらには企業文化醸成による予防法務にも力を入れている。経営法曹会議会員。

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