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妊婦の私に「今からでもおろせる」と暴言…ヤバすぎる「義母」と縁を切る方法は?
何かと電話をかけてくる義母(C-geo / PIXTA)

妊婦の私に「今からでもおろせる」と暴言…ヤバすぎる「義母」と縁を切る方法は?

夫婦仲は良好でも、義父母との折り合いが悪いという人は多いかもしれません。弁護士ドットコムにも「義母に言わずに籍を入れたことがバレて揉めています」という相談が寄せられています。

もともと義母と不仲だった女性。義母には報告せず結婚し、現在妊娠7カ月です。

妊娠が発覚すると、義母は女性に対する容姿を罵倒したり、お腹の子を「おろせ、おろせ、流産しろ、今からでもおろせる医者を知っている」と詰め寄ったりしてくるようになりました。

結婚前からこうした攻撃的な言葉に悩まされていた女性でしたが、「お腹の子の事をいわれると精神的にきてしまって、せめて出産まででも私に近付かないようにする方法は無いか」と考えているようです。

果たして、迷惑な義母と縁を切る方法はあるのでしょうか。

●義母との「離縁」はない!

古谷祐介弁護士は「法的には、夫婦関係を維持しながら、親戚関係を終わらせることはできません」と話します。一体、どうしてなのでしょうか。

「日常において、『縁を切る』という表現を用いる場合、それは法律上の話ではなく、事実上、社会生活上の話であることがほとんどかと思います。

そもそも、民法における『離縁』は、養親子関係(養子縁組)の解消を指すものであり、義母との『離縁』というものはありません」

「義母との関係は、民法上は『姻族』に当たります。姻族とは、配偶者の親や配偶者の兄妹等、配偶者との婚姻によって生じた親戚関係のことを言います。

姻族関係は配偶者との婚姻によって生じるものですので、夫婦が離婚した場合は姻族関係も終了します。

また、夫婦の一方が死亡し、生存配偶者が役所に姻族関係終了届を出したときも、姻族関係は終了します」

「民法が定めている姻族関係の終了はこの2つだけですので、夫婦関係を維持しながら姻族関係だけを終了させるということは出来ません。

また、姻族関係の終了といっても、その効果は主として『扶養義務を負わなくなる』というものですので、今回のご質問における『縁を切る』というものとは異なるかもしれません」

●義母が近づかないようにする方法は?

では、義母が近づかないようにする方法はないのでしょうか。古谷弁護士は3つの方法が考えられると解説します。

・裁判所に「面会強要等禁止仮処分命令」の申立て

例えば、義母に対して自分に近づかないよう、要求したにもかかわらず、義母がそれらの要求を無視して以前と変わらず罵倒などをしてくる場合は、裁判所に対し、「面会強要等禁止仮処分命令」の申立てをすることが考えられます。

この申立ての典型例は、面談、架電、手紙等の方法で直接に連絡、交渉することを強要する行為の禁止を求めるものです。その他、自宅等を訪問する行為の禁止を求める場合もあります。

義母の行為が、人格権(平穏に生活を営む権利)を侵害しているものであり、かつ、著しい損害または急迫の危険を避けるために仮処分決定が必要である場合に申立てが認められます。

申立てが認められるかどうかは、義母が発する言葉の内容やそういった言動の頻度等、その程度次第ということになります。

・家庭裁判所の「親族関係調整調停」手続き

これは、例えば、親族間において感情的な対立があるなど関係が円満でない場合に、円満な親族関係の回復を目指して話合いをする裁判所での調停手続きです。

一般的に、調停手続きの方が仮処分手続きよりも時間がかかりますが、裁判所が義母側の意見も十分に聞いた上で問題解決を目指していきます。

・警察に相談・被害申告

容姿への罵倒はその言動や状況次第では刑法上の侮辱罪や名誉毀損罪に、害悪を告知して中絶を強要した場合などは強要(未遂)罪に該当することもありえますので、警察に相談・被害申告等をすることも考えられます。

いざとなれば、こういった法的対応をとることもあり得るということだ。ただ、リスクも考えられると古谷弁護士は語る。

「裁判所や警察といった話になれば、当然、その後の義母との関係が極めて深刻なものになるリスクも含んでいます。

夫や義父などの協力が得られ、そういった親族を通じて解決が図れるのであれば、それが最も望ましいことは言うまでもありません。

また、自分自身や親族では解決を図れそうもないが、裁判所や警察まで行くのは躊躇するということであれば、弁護士を通じて内容証明郵便を送るといったことも考えられます。 妊娠中はただでさえ大変な時期でしょうから、周りの人の協力を得ながら解決を図れればと思います」

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プロフィール

古谷 祐介
古谷 祐介(ふるや ゆうすけ)弁護士 弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
離婚などの家事事件をはじめ、企業法務や相続や破産(法人・個人)にも幅広く対応。適格なアドバイスで依頼者からの信望も厚い。裁判所より破産管財人・成年後見人に選任されている。

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