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「未亡人になりたいから死んで」妻からの暴言がひどすぎる 離婚も拒否された男性の嘆き
写真はイメージです(Ushico / PIXTA)

「未亡人になりたいから死んで」妻からの暴言がひどすぎる 離婚も拒否された男性の嘆き

「妻からの暴言で精神的に限界です。離婚したいのですが、応じてもらえません」。弁護士ドットコムに、専業主婦の妻に暴言を浴びせられているという男性から、このような相談が寄せられています。

相談者によると、妻は自分の思い通りにいかないと、暴言を吐いて八つ当たりしてくるそうです。毎日のように「もともと好きじゃなかった」「未亡人になりたいから死んでほしい」「悪魔」「はずれくじを引いた」などの暴言を浴びせられているといいます。

相談者は「感情を捨てて、奴隷になったつもりで、できる限り彼女の思い通りに動いていますが、もう限界です」と心身ともに疲弊した様子です。離婚を検討していますが、妻は世間体を気にしており、離婚に応じる気はないとのことです。

妻の暴言を理由に離婚することはできるのでしょうか。山口政貴弁護士の解説をお届けします。

●ポイントはモラハラが「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるか

ーー相談者の妻の言動は「モラハラ」にあたるのでしょうか。

「モラハラ」だと思われます。モラハラ、すなわちモラル・ハラスメントとは、身体的な暴力を伴わずに、言葉や態度で相手を精神的に傷つけることです。

「もともと好きじゃなかった」「死んで」などの発言は、冗談と言い逃れのできない言葉の暴力と考えられます。たとえば、次のような言動・行動がモラハラにあたります。

・話しかけても無視する
・相手のやることなすこと全て否定する
・外出を禁止するなど、相手の行動を管理しようとする
・「バカじゃないの?」など相手の自尊心を傷つける発言を繰り返す
・「死んでやる」などと言い、相手を不安な気持ちにさせる

ーーこのようなモラハラを理由に離婚することはできるのでしょうか。

「モラハラがあれば離婚できる」という法律はありません。裁判では、モラハラが「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうかが問われることになります。

ーーでは、相談者のケースは、裁判で「重大な事由」があると認められる可能性はありますか。

夫婦の一方によるモラハラが、正当な理由なく、相当な長期間にわたって執拗におこなわれ、その内容も人格を完全に否定するような常軌を逸したものである場合には、重大な事由があるとして、離婚が認められる可能性があります。

相談者は毎日のように妻に暴言を浴びせられて精神的に傷つき、限界だと感じているということですから、離婚が認められる余地はあるでしょう。

●暴言を証明するためには「証拠」が必要

ーー相談者は、暴言の内容を数カ月前から録音し始めたようです。

暴言の内容や期間を証明するためには「証拠」が必要です。録音はおすすめです。録音が難しければ、裁判に備えて、暴言を浴びせられた日時や場所、内容などをなるべく具体的にメモしておきましょう。

また、暴言によってうつ病になったなど、体調に影響が出ているなら、診断書も用意するとよいでしょう。被害の深刻さを立証する材料になります。

精神的な暴力であるモラハラは、殴る、蹴るなどの身体的な暴力とは違い、身体に傷が残りません。

しかも、モラハラの加害者は世間的には「いい人」で通っているなど、2面性があることも少なくありません。他人に相談しても「あんなにいい人がそこまで怒るわけがない」「気に障ることをしたあなたが悪いんじゃない?」と言われ、余計に傷つくこともあります。

家庭という密室で何が起こっているのか、外の人にはわかりません。実際に被害を受けていることを証明するために、客観的な証拠は不可欠なのです。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

山口 政貴
山口 政貴(やまぐち のりたか)弁護士 神楽坂中央法律事務所
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。

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