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「水難の相が出てるぞ」「一緒に死のう」別居中の夫から毎日届く狂気のLINE
写真はイメージです(Ushico / PIXTA)

「水難の相が出てるぞ」「一緒に死のう」別居中の夫から毎日届く狂気のLINE

「別居中の夫から毎日、いやがらせのLINEがきます」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者によると、夫からは毎日「お前を歩けなくしてやる!一家心中だ!一緒に死のう!」などのLINEが届くという。ほかにも、「水難の相が出てるぞ!目を狙う!」など不気味な内容が送られてくることもあるようだ。

「文章だけではなく、カエルの気持ち悪い写真が届いたこともあります」と相談者は恐怖を感じている。

送られてきたLINEを証拠に、夫に慰謝料を請求することはできるのだろうか。小田紗織弁護士に聞いた。

●不法行為として慰謝料請求をすることは可能

ーー夫の行為は、法的にどのような問題があるのでしょうか。

夫婦間の通常の連絡の域を超えて、生命や身体の危険を感じさせるような文面を一方的に送る行為は「脅迫」にあたります。また、連続しておこなえば「ストーカー行為等の規制等に関する法律」により規制されているストーカー行為に該当します。

ーー相談者は夫に慰謝料請求したいと考えていますが、可能ですか。

はい。民法上の不法行為として慰謝料請求をすることも可能です。

裁判所の認める慰謝料額は、LINEの頻度や内容の悪質性にもよります。そのため、認定される慰謝料は数十万円ということもあり得ます。

夫に自身の言動は慰謝料を支払わねばならないことだと自覚させ、ひいては夫の言動を抑制することを目的に慰謝料請求するのであれば意義があるかと思います。

ただし、尋常ではない夫に正論が通用するのか、かえって刺激する可能性があるので夫の状況を見極める必要があります。

●正論が通じない相手にどう立ち向かう?警察や専門家に相談を

ーー夫にこのような行動をやめてもらうために、相談者ができることはありますか。

まずは警察に夫の脅迫・ストーカー行為について相談をし、夫に警告をしてもらいましょう。危害を加えられる危険性があるのであれば、夫に知られないように転居した方がよいといえます。

また、離婚を求める調停を家庭裁判所で申し立て、調停を通じて話し合いをする中で、調停委員を通じて相手にこういったLINEはやめるべきであると話をしてもらうこともできるかもしれません。ここは調停委員の裁量ではあります。

夫が離婚に応じなければ、調停はいずれ不成立になり、離婚をするために訴訟をすることになります。

訴訟で離婚を認めてもらうためには離婚事由が認められる必要がありますが、夫の脅迫・ストーカー行為は「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)という離婚事由が認められる一事情になるでしょう。また、訴訟の中で離婚と併せて慰謝料も請求すれば、慰謝料も認められる可能性があります。

法的な手続き、正論が通じる相手ではないことを念頭に、警察や専門家に相談しながら対応していった方がよいでしょう。

プロフィール

小田 紗織
小田 紗織(おだ さおり)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。

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