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コロナ禍で生活苦の男性、再婚した元妻に「養育費を減額したい」打診も拒否される
写真はイメージです(Mills / PIXTA)

コロナ禍で生活苦の男性、再婚した元妻に「養育費を減額したい」打診も拒否される

「元妻が再婚したので養育費を減額したいのですが、応じてもらえません」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。

相談者には、離婚した妻との間に子ども(5歳と6歳)が2人います。離婚時には月10万円の養育費を約束し、公正証書をつくりました。

その後も養育費を払い続けてきましたが、支払いが厳しい月もあり、会社に黙ってひそかにアルバイトもしていました。ところが、副業をしていたことが会社にバレてしまい、苦しい状況が続いているそうです。

そんな中、元妻が再婚したことが分かりました。養育費の減額を相談しましたが、応じてもらえないまま現在に至るそうです。

相談者以外にもコロナ禍でリストラや収入の減少により、月々の養育費の捻出がままならないという相談が寄せられています。養育費の減額はどのような場合に認められるのでしょうか。大和幸四郎弁護士の解説をお届けします。

●離婚時に取り決めた養育費は基本的に変更できない

ーー養育費の減額はどのような場合でも認められないのでしょうか。

基本的には、離婚する際に取り決めた養育費の金額や支払い期間を、変更することはできません。

ただし、養育費の金額を決めた後になってから、その当時には予測できなかった事情変更があった場合は、養育費を減額(もしくは増額)できる可能性があります。

養育費の支払いは、子どもが成人するまで続きます。その間、養育費を支払う側、受け取る側双方の経済的な状況が変化する可能性は充分に考えられるでしょう。

ーー具体的に、どのような場合に減額できる可能性があるのでしょうか。

養育費を減額できるケースの一つが、元妻の再婚相手が、連れ子と「養子縁組」をした場合です。養子縁組をすることによって、実父だけではなく法律上の父親(養親)、つまり再婚相手にも扶養義務が生じます。このような場合、裁判例では、養親の扶養義務の方が、実父の扶養義務よりも優先されるという解釈が示されています。

このようなケースで、実父が「養親にも養育費の負担をしてもらいたい」と思えば、減額できる可能性があります(また、事情によっては支払いが免除される場合もあります)。ただ、自動的に減額されるわけではないので、まずは当事者同士での話し合いが必要です。話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に養育費減額の調停を起こす必要があります。

●失業や収入減により、減額が認められる場合も

ーー養子縁組をした場合以外にも、たとえば収入が減少した場合など、養育費の減額が認められることはありますか。

たとえば、次のようなケースでは認められる可能性があります。

・養育費を負担している親の失業や、転職によって収入が減った場合
・養育費を負担している親が病気やケガをして医療費が大幅に増えた場合
・養育費を負担している親が再婚して、再婚相手との間に子どもができた場合
・子どもを養育している親が再婚し、再婚相手の扶養に入るなど経済的な余裕ができた場合

逆に、養育費を増額できるのは、「子どもを養育している親が失業した」「子どもが病気やケガで医療費が増大した」などの場合です。

養育費の金額変更が認められるためには、相手方に、減額・増額に応じられるだけの経済力があるかどうかがポイントになります。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

大和 幸四郎
大和 幸四郎(やまと こうしろう)弁護士 武雄法律事務所
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。

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