スマートフォン向けアプリ「赤ちゃん名づけ」を提供するリクルーティングスタジオは、「2015年キラキラネームランキング」を発表した。1位は「皇帝」(しいざあ、など)で、2位は「星凛(あかり、など)」、3位は「愛翔(らぶは、など)」だった。
年間のアクセス数が多かったキラキラネームをランキング化している。ランキング入りした名前を見ていると、読むことが難しそうな当て字が多い。例えば、20位の「一心(ぴゅあ)」、27位の「心人(はーと)」、29位の「大海(おーしゃん)」などだ。
ツイッターでは、ランキング結果に対して、「名前って、、誰からも呼びやすく、両親が名前の由来を子供に説明できることが大切」「同じ漢字でも全然読みかた違うんですね」など、名前の読み方に対する疑問の声が出ていた。
1位の「皇帝」については、「しいざあ」のほかに、「こうた」「さうざ」「すめかみ」「 ふらんつ」など多様な読み方があるようだが、命名の際には、読みがなは何をつけてもいいのだろうか。また、難読ネームについては否定的な意見もあるが、そういった意見を踏まえて法律で規制することは可能なのだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。
●読み仮名の規制は難しい
「親の名付けの権利、命名権の根拠については、親権に含まれるという説や、子どもの権利を親が代行しているという説がありますが、定説はありません。
いずれにせよ、親の名付けは全くの私事であり、子どもに対する親の願いを込めて行うもので、親の内心や価値観、思想信条等が反映されます。ですから、国の介入はやむを得ない限度に限られるべきです」
そうであるなら、どんな名前でも許されるのだろうか。
「名前は個人を特定して、他者と識別する記号であり、人格権の中核をなすといえます。子どもにとって名前は重要な意味を持ちます。その名前をつけられることで子どもの福祉に反するような場合は、命名権の濫用として許されないでしょう。
命名権を制約する規定としては現在、名に使用できる『漢字』について規定する戸籍法50条があるのみです。読みがなについては、何ら規制がなされていません」
読みがなを法律で規制することはできないのか。
「法で名付けの権利を規制するためには、立法事実として、名前をつけられたことが子どもの福祉に反するということが立法事実として証明されることが法的介入の前提となります。
ただ、現在では、たとえば名前でいじめられるなど、子どもの福祉に反するという、明らかな因果関係が示されているとまでは言えないため、法規制までは難しいと考えます」
田中弁護士はこのように話していた。