「抱かれたくない男ランキング」について、タレントの松本人志さんが「セクハラだ」とテレビで発言し、議論を呼んだ。
松本さんは、レギュラーコメンテーターをつとめる情報番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)の11月29日の放送で、雑誌のアンケート調査「抱かれたくない男ランキング」について、「完全にセクハラだと思う」と発言。「(アンケートに協力した女性)2000人に順位つけたろかっていう話。いやでしょ?そういうことなんですよ」とまくしたてた。
「抱かれたくない男ランキング」は女性週刊誌「週刊女性」の人気企画。約2000人から回答が集まり、トップは2年連続でお笑い芸人の出川哲朗さん、2位はアンガールズの田中卓志さん、3位は江頭2:50さんだった。
知名度がなければランキングにはのらないのだから、芸能人にとってはいいことだという考え方もあるだろうが、「抱かれたくない男ランキング」は、セクハラにあたらないのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。
●法的な「セクハラ」にはあたらない
「結論からいうと、『抱かれたくない男ランキング』にあげられた男性芸能人が、アンケートに答えた女性や、アンケートを企画した出版社などに対して、法的に損害賠償を求めるなどの請求をすることは難しいと思います」
寺林弁護士はこのように述べる。
「セクハラというのは、さまざまな次元で使われる言葉で、一般的には性的嫌がらせ全般を指すものと考えられていますが、何がセクハラかは、個人個人によってさまざまでしょう。
いちおう、法律的には、つぎのような行為がセクハラと認定されることが多いと考えられています。
(1)職場の上司が、その地位を利用して部下に対して性的関係を強要したり、みだりに身体的に接触を図る
(2)羞恥心を煽るような言葉を投げかける
(3)上記のようなケースで、部下が抵抗したり抗議したりすると、不利益を与えたり、暗に不利益を与えることを示唆したりする
このような場合には、損害賠償請求の対象となったり、場合によっては、強制わいせつ罪や強要罪という犯罪に該当する場合もありえます」
「抱かれたくない男ランキング」は、法的には「セクハラ」にあたらないのだろうか。
「そうですね。上記のようなケース以外の、広い意味での『セクハラ』は、『された側がどう受け取るか』という問題です。した側に他意がなくても、された側が『セクハラ』だと感じればそうなってしまうものではないでしょうか。
ですので、抱かれたくない男ランキングも、江頭さんや出川さんらがそう感じるのであれば、広い意味では、『セクハラ』になると思います。
しかし、法律的には、損害賠償請求の対象になるようなものではありません」
寺林弁護士はこのように述べていた。