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AV出演強要は「女性に対する暴力」と国が認めたことを評価ーー伊藤弁護士ら関係者
NPO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士(2015年9月撮影)

AV出演強要は「女性に対する暴力」と国が認めたことを評価ーー伊藤弁護士ら関係者

若い女性たちが本人の意思に反して、アダルトビデオ(AV)に出演させられている問題について、政府は6月2日、民間団体からヒアリングして、実態の把握につとめるという答弁書を閣議決定した。被害を訴えてきたNPOからは、こうした動きを歓迎する声があがっている。

●NPOが「監督官庁の設置」「実態の把握」などを求めていた

AVの出演強要をめぐっては、NPO法人ヒューマンライツ・ナウが今年3月、被害実態をまとめた報告書を公表。若い女性たちが、本人の意思に反してAVへの出演を強要されるケースが相次いでいると指摘したうえで、監督官庁の設置や法整備、実態の把握などを求めていた。

報告書によると、スカウトから街で「モデルにならない?」「タレントにならない?」と声をかけられたり、撮影直前までAVだと知らされず、拒否すると高額の違約金を求められたりするなどして、出演を強要されたケースがあったという。

●「内閣全体の課題として位置付けられたことは重要」

今回の答弁書は、女性に対して、本人の意に反してAVの出演を強要することは、第4次男女共同参画基本計画で、防止と根絶に取り組むとしている「女性に対する暴力」にあたると説明。教育・啓発の推進や、被害者が相談しやすい体制づくりを通じて、効果的な支援の拡充を図っていくとしている。

NPO法人ヒューマンライツ・ナウの事務局長をつとめる伊藤和子弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「今回閣議決定され、内閣全体の課題として位置付けられたことは重要です。特に、本人の意思に反して女性にアダルトビデオへの出演を強要することは、『女性に対する暴力』にあたると位置付けられたことを歓迎します」と一定の評価を示した。

今後については、「実態把握とともに、相談窓口の整備、啓発、施策の策定、対策立法と、被害をなくすために政府が一丸となって迅速な動きを進めていくことを心から期待します」と述べた。

また、AV出演に関する相談を多数受けているNPO法人ライトハウスの藤原志帆子代表も、「これまで放置されてきた問題について、国が調査することは非常に良い流れだと思います」と評価した。「民間だけでなく、警察や労働局、消費者センターにこれまでどれくらい相談が入っていたかも調べてほしい。また、AV業界からもヒアリングして、リクルートから制作、流通まで産業全体の実態を把握してほしい。そのうえで、早急に法制化して業界の健全化につなげてもらいたいです」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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