2019年10月11日 16時49分

強烈な「台風19号」飛来物対策も重要 飛んだ瓦などでトラブルが起きる可能性も

強烈な「台風19号」飛来物対策も重要 飛んだ瓦などでトラブルが起きる可能性も
接近しつつある台風19号(10月11日16時30分、気象庁サイトより)

大型で非常に強い台風19号が、勢力を保ったまま10月12日に東海と関東にかなり接近しようとしている。記録的な大雨や暴風となり、各地で甚大な被害をもたらす可能性がある。

気象庁はPDF「大雨や台風に備えて」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/ooametyphoon/ooametyphoon201903.pdf)を公開しており、家の外の備えとして、以下の項目をあげている。

・窓や雨戸はしっかりとカギをかけ、必要に応じて補強する
・側溝や排水溝は掃除して水はけを良くしておく
・風邪で飛ばされそうな物は飛ばないように固定したり、家の中へ格納する。

家の中の備えとしては、

・非常用品の確認(懐中電灯、携帯用ラジオ(乾電池)、救急薬品、衣類、非常用食品、携帯ボンベ式コンロ、貴重品など)
・室内からの安全対策(飛散防止フィルムなどを窓ガラスに貼ったり、万一の飛来物の飛び込みに備えてカーテンやブラインドをおろしておく)
・水の確保(断水に備えて飲料水を確保するほか、浴槽に水を張るなどして生活用水を確保する)

をあげている。

今後、実際に被害が出てくると、法的な問題に発展する可能性もある。例えば、暴風で他人の家の瓦が飛んできて、家や車や身体が傷つけられるような場合だ。

そのような場合、瓦がのっていた家の持ち主に対して、賠償金を求めることはできるだろうか。田村ゆかり弁護士 に聞いた。

●民法の「工作物責任」が問題になる

田村弁護士によると、民法717条1項の「工作物責任」が問題になるという。そこでは、次のように定めている。

「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」

法律の条文なので、難しい言葉が並んでいるが、どのような意味だろうか。

「まず、『工作物』には家も含まれます。そして、『瑕疵』(かし)とは、工作物がその種類に応じて通常備えているべき安全性・設備を欠いている状態のことです。

つまり、もし家に『瑕疵』があり、そのために瓦が飛ばされた結果、家や車が壊れたり、けがをしたりしたら、その家の『占有者』が損害賠償責任を負うことになります」

「占有者」というのは、その家に住むなどして、事実上、支配している人のことだ。家の状態をコントロールできる立場にあるので、それに応じた責任があるということだろう。

「もし、その家が持家ということならば、所有者と『占有者』は基本的に同じ人ですから、家の持ち主が責任を負います。アパートなどを借りている賃借人の場合は、賃借人も『占有者』として責任を負います」

また、強風や豪雨などの自然力が荷担していた場合であっても、「工作物の設置又は保存に瑕疵がある以上は、自然力の荷担という事情だけで、責任を免れることはできないと考えられています」と、田村弁護士は指摘する。

●所有者か占有者に損害賠償を請求できる

では、家の持ち主や賃借人などは、責任を免れることはできないのだろうか。

「民法717条1項は、ただし書きで『占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない』と定めています。

したがって、『占有者』が、損害発生防止のために必要な注意をしていた場合には賠償責任を免れることができますが、『所有者』は、たとえ損害発生防止のために必要な注意をしていても、損害賠償責任を免れられません」

つまり、賃借人などの「占有者」は責任を免れられる可能性があるが、「所有者」である持ち主は、免れることができないことになる。田村弁護士は次のように整理する。

「家の『所有者』と『占有者』が同じであれば、『所有者』に対して損害賠償を請求することができます。それぞれが異なる場合は、被害者はまず『占有者』に対して請求することになりますが、『占有者』が損害発生防止のために必要な注意をしていた場合には、『所有者』に対して請求することができるということになります」

いずれにしても、台風で飛んできた瓦で被害にあった人は、その家の所有者か占有者に損害賠償を請求できるということだ。逆にいえば、家に住んでいる人は賠償責任を負う可能性がある。これから、万全の備えをしたい。

取材協力弁護士

田村 ゆかり弁護士
経営革新等支援機関。沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。

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