日本弁護士連合会(日弁連)は6月19日、6月4日に成立した公益通報者保護法の一部改正について会長声明を発表した。解雇への刑事罰導入などを評価する一方、保護制度として「いまだ不十分」として更なる改善を求めた。
現行制度では、通報者に不利益な扱いをした場合の企業や行政機関に対する罰則がなく、実効性が課題となっていた。今回の改正では、公益通報を理由とする解雇・懲戒処分に刑事罰を導入し、通報後1年以内の解雇等は公益通報を理由としたものと推定する制度を新設。保護対象にフリーランスも追加された。
●「法の実効性を高めるために必要な内容」と評価
日弁連は声明で、刑事罰導入や立証責任の転換、保護対象の拡大について「本法の実効性を高めるために必要な内容が盛り込まれており、これらの点については高く評価するものである」と評価した。
一方で、配置転換や降格についても公益通報が理由と推定する規定、資料収集・持出行為への免責規定、フリーランス以外の取引先事業者の保護対象追加などが盛り込まれていない点について、「公益通報者保護制度としてはいまだ不十分な内容であると言わざるを得ない」と指摘。補償制度や報奨金制度の検討も必要とした。
そのうえで、「施行後3年を目途として行われる見直しの際に、本改正に盛り込まれなかった上記の点について更に議論を深めた上で、これらを実現することを求める」としている。