再審制度を見直す法改正をめぐる公文書を法務省が廃棄していた問題で、7月9日の参議院の法務委員会では、与野党の議員が相次いで追及した。
国民民主党の小林さやか議員は、法務省の説明が二転三転していることに触れ、「文書管理の感覚が我々とかけ離れている」と批判。
法改正の検証に必要な資料が失われかねないとして、文書管理のあり方に疑問を呈した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●森議員「行政文書は国民の財産」
自民党の森雅子議員は、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案が国会で審議中であるにもかかわらず、自民党の事前審査で法務省側が示した資料を廃棄していたことを問題視し、こう批判した。
「仮に保存期間1年未満の文書に当たるとしても、法案が成立しないうちに、審議の重要な参考になる資料を廃棄することは許されません。あれだけ紛糾し、法務省の言い分や法案の書きぶりが二転三転したものを残しておかないことは考えられない。行政文書は国民の財産です」
●「ひどい体たらく」、法務大臣は従来の説明繰り返す
さらに森議員は、自身が法務大臣時代に設置した「法務・検察行政刷新会議」でも文書管理が議題になったことを振り返り、「それが徹底されなくなってこうなったわけで、本当にひどい体たらくです」と改善を求めた。
これに対し、平口洋法務大臣は「自民党の与党審査は政党における非公開の会議であり、提出した資料の具体的な内容について答えることは差し控える」と回答。
そのうえで「必要な資料を作成、提出した後、保存期間を1年未満とする文書に該当するとの判断のもとで、法令に従って廃棄済みであるとの報告を受けている」と従来の説明を繰り返した。
●小林議員「何を作成して、何を廃棄したのか?」
国民民主党の小林さやか議員も、この問題を取り上げた。
法務省はこれまで、弁護士ドットコムニュースには「作成、取得していない」と説明する一方、同様の開示請求をした東京新聞に対しては「廃棄済み」と回答している。
この食い違いについて、小林議員は「何を作っていて、何を廃棄していて、何があって、何がないんですか」とただしたが、平口法務大臣から新たな説明はなかった。
答弁する平口洋・法務大臣(左)と佐藤淳・法務省刑事局長(2026年7月9日、参議院インターネット審議中継より)
●自民党への提出資料の廃棄、刑事局長「規定に違反しない」
小林議員はさらに、法務省の行政文書管理規則を持ち出し、自民党への対応に関する文書の保存期間を法務省が「1年未満」として扱った理由を尋ねた。
これに対し、法務省の佐藤淳・刑事局長は「政党と行政機関は違う」としたうえで、行政機関としての意思決定に関わる文書は保存しており、自民党に提出した資料の写しを廃棄することは「この文書規定に違反しないものだと考えています」という見解を示した。
●「文書管理の感覚が我々とかけ離れている」
これに対して、小林議員は「刑事局長の説明を聞くにつれて、文書管理の感覚が我々とかけ離れてるんじゃないかと、一体どうなっているのかなと思うわけです」と指摘した。
そのうえで、再審制度見直しに関わる問題点として、次のように語った。
「弁護士ドットコムに対しても、東京新聞に対しても、説明がこれだけ二転三転する組織にあって、やっぱり証拠の一覧表がないと、概括的な特定ができない。だって、あるか、ないかがわからないわけです。そもそも証拠は誰のものなのかという話だと思います」