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東スポレモンサワー「度数13%」は濃すぎ? 依存症の専門家が「怖さ」指摘
東スポサワー(2023年5月25日、弁護士ドットコムニュース撮影)

東スポレモンサワー「度数13%」は濃すぎ? 依存症の専門家が「怖さ」指摘

東京スポーツ新聞社(東京都江東区)は5月23日、アルコール度数13%の「東スポプロデュース 驚愕レモンサワー」(東スポサワー)を発売した。

「ストロング系」と呼ばれる飲料でもアルコール度数7~9%台が目立ち、一部で12%の商品もある。東スポサワーはそれすらも上回っており、「13%」とワインの度数とほぼ同程度だ。

ストロング系は「安い・飲みやすい・酔いが早い」を売りに人気を集めてきた一方、アルコール度数の高さから健康被害を誘発すると指摘されている。東スポサワーも希望小売価格248円(税抜き)で消費者が手に取りやすい価格。千ベロならぬ、250円ベロの功罪とは。

●「お酒の味が苦手な人たちも飲めてしまう」

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長で、薬物依存症センター・センター長でもある松本俊彦さんは、かねてより「安くて効率的に高いアルコールをいっぱい摂取できる」ことの危険性を訴え続けている。

「いわゆるストロング系アルコール飲料の特徴として『飲みやすさ』があります。消費者は速いベースで飲んでしまうのですが、そうすると急激にアルコールの血中濃度が上がってしまい、自分でも予期せぬ酩酊状態になってしまうことが多いです」

ストロング系の怖さは、その飲みやすさゆえに「お酒の味が苦手な人たちも飲めてしまう」ことにあると指摘する。

「未成年の子どもが飲むケースも結構あります。若い子たちが、他の酒は飲まないけどストロング系なら安いしこの味なら飲めるといって、ジュース感覚で飲む、あるいはドラッグとして酩酊を求めて飲むという行為に役立ってしまっている現状があります。

お酒が好きでなくても飲めてしまう酔える飲み物をどんどん販売していくということに関しては、非常に反対です」

松本さんは、ビールの酒税が元々高かったため、発泡酒が登場したと指摘。それが売れるようになると発泡酒の酒税も上がった結果、ストロング系が生み出されたと説明する。安く供給することは企業努力でもあり「販売側だけの問題ではない」とし、販売規制ではなく、酒税の見直しでコントロールすべきではないかと提案する。

「アルコール度数の高さによって酒税を上げるなどして、購入しにくくする。またその財源をアルコール依存症の回復支援など福祉的な面でいかすというのが必要でしょう。酒税は健康を害するものへのアクセスを悪くするためのものだと私は思っています」

松本さんは「お酒の文化は大事にしてほしい」とも付け加えた。

「お酒の悪い面を若いうちから享受できるものにせず、お酒の良いところ、『大人がゆっくり楽しむ』という飲み方を企業側も提案してほしいと思います。

低アルコールのお酒やアルコールフリーの飲み物が広がっていますが、本当に素晴らしいことだと思います。頑張ってほしいです」

●東スポは「激薄」回答

東スポは、東スポサワーの発売日前後、自社記事や複数のSNSアカウントなどで広告するとともに、俳優の酒井法子さんを起用するなどして大々的に宣伝していた。松本さんが指摘するような高アルコール度数の飲料に対する懸念などについてどう考えているのか。

弁護士ドットコムニュースは、東スポに対し、商品販売の経緯、健康被害懸念への見解、酒井法子さん起用の理由などを問い合わせたが、「弊社プロデュースのレモンサワーにつきましては、プレスリリース等で発信した情報がすべてです」(法務・広報室)と回答。東スポサワーのアルコール度数とは異なり、薄めの結果となった。

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