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パロディー時計の商標めぐり上告「OMECO(オメコ)が卑わいなら、人間そのものが卑わいになる」
最高裁判所(yama1221 / PIXTA)

パロディー時計の商標めぐり上告「OMECO(オメコ)が卑わいなら、人間そのものが卑わいになる」

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スイスの高級時計ブランド「OMEGA(オメガ)」のパロディー時計の商標「OMECO(オメコ)」が特許庁によって登録取り消されたことをめぐり、知財高裁でも、「卑猥」であり「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある」として、登録取り消しが支持された。

この判決から約3カ月。OMECO側は一連の決定は、表現の自由を保障する憲法に違反しているとして、最高裁に上告している。

特許庁と知財高裁が登録取り消しの根拠とした商標法4条1項7号「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」の解釈は漠然としており、最高裁で解釈を示すべきだというのだ。(編集部・塚田賢慎)

●OMECO訴訟の経緯

OMECO社は2020年8月、アルファベットの「OMECO」ロゴ商標を登録。OMEGA社から異議申し立てされて、特許庁は2021年12月に登録取り消しを決定した。

続いて、OMECO社が特許庁による決定の取り消しをもとめて裁判を起こすと、知財高裁は2022年5月、棄却する判決を言い渡した。

この判決を不服として、OMECO社は6月7日に上告。現在は、最高裁が審理するか判断を待っているところだ。

公序良俗違反を防止する商標法4条1項7号が違憲であり、解釈を示すことを最高裁に求めている。

●上告によって違憲訴訟に形をかえた

商標法では「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」がある商標は、登録を受けられないと定められている(4条1項7号)。

特許庁も知財高裁も、OMECOのロゴは、この「公序良俗違反」に違反すると判断した(なお、特許庁は「広義の出所の混同」(同15号)の違反も認めたが、知財高裁は判断していない)。

知財高裁の判決文を一部紹介する。

〈本件商標は、その呼称から、少なくとも需要者に女性器を連想、想起させるものであるから、その構成自体が卑猥又は他人に不快な印象を与えるようなものであって、その余の点について検討するまでもなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきである。したがって、本件商標は、商標法4条1項7号に該当するものであり、商標登録を受けることができない〉

風間社長とOMECOの時計

上告理由書などによれば、商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するという登録取消決定が、表現の自由を保障する憲法21条などに違反しているといった主張である。

OMECO社側は、女性器とは本来、女性特有の重要な器官であり、それ自体は価値中立的なはずであり、判決の中で「女性器を連想、想起させること」で「卑猥」にどうつながるか説明が一切ないと指摘している。

さらに、仮に卑猥だとしても、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」の意味内容があまりにも不明確であり、卑猥だからといって公序良俗違反に該当するとはいえないとしている。

解釈が示されないままでは、どのような商標が公序良俗違反にあたるのかあたらないのかわからず、一般国民に萎縮効果をもたらすおそれがあるとも指摘する。原判決を破棄したうえで、商標法4条1項7号の解釈をめぐり、最高裁での審理をもとめている。

●「コウノトリ? 竹? 違う!」

OMECO社の風間友亮社長は、弁護士ドットコムニュースの取材にこう語る。

「法的な基準を設けず、判断権者(特許庁)の価値判断で登録の可否を判断したのは差別です。OMECOの商標登録取り消しは、検閲となんら変わらず、表現・選択の自由を奪うことだと思います」

上告理由書の終わりに、風間社長はこの文章を付け加えた。

「確かに本件商標は、ある人から見れば卑わいなのかもしれない。しかし、裁判官はどこから生まれてきたのだろうか? コウノトリ? 竹から? 違う! ほとんどの人が女性器から生まれたわけである。とすると、今回の特許庁の取消決定、ひいては原判決は人間そのものを卑わいと断ずるものに他ならない。なんという罰当たりなことであろうか」

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